※元記事はクリエィティブ司書・小宮山剛のnoteのため、レイアウト等は元記事のほうが閲覧しやすくなっております。
https://note.com/tsuyoshikomiyama/n/n0553ae0dc71b

※本記事は、図書館関連の雑誌『みんなの図書館』5月号から8月号にかけて連載された、椎葉村図書館「ぶん文Bun」クリエイティブ司書・小宮山剛の記事『図書館の夜を乗り越える」:日本三大秘境椎葉村、クリエイティブ司書爆誕秘話』について、より広い読者層へ届ける目的で正式にみんなの図書館編集部様からご許可を得たうえで、小宮山剛の手元原稿を元にウェブ掲載したものです。したがって『みんなの図書館』本誌と編集上の表記違い等がみられる可能性がございます。

上記お含みおきのうえ、お楽しみください。2020年7月18日に開館した椎葉村交流拠点施設Katerie/椎葉村図書館「ぶん文Bun」の立ち上げを牽引した椎葉村地域おこし協力隊・クリエイティブ司書の小宮山剛が取り組んできた仕事の数々、この記事でほとんど見せます!!

1. 夜明け前

・プロローグ:開館当日朝の記憶から

 椎葉村図書館「ぶん文Bun」[1](以下、「ぶん文Bun」)の開館初日、午前8時。ぶん文Bunは同館が含まれる複合施設である椎葉村交流拠点施設Katerie(かてりえ)[2](以下、Katerie)と同じく午前9時の開館であるから、開館セレモニーまではまだ余裕がある。こうして2020年7月18日の新規開館日を無事に迎えられたことは感慨深く、昨日しっかりとディスプレイ状況の点検をした真新しい書架が眩しい。カウンターまわりの備品も事前にチェックし終わり、職員間で実施した貸出・返却業務のロール・プレイングも完ぺきだった。館内を巡る人々にそっと寄り添うかのような、主張し過ぎずとも質の高い情報伝達力をもつ掲示物も全て準備済みだ。
すべてが整えられ、すべてが今か今かと記念すべき開館の瞬間を待ち構えている。私たちの準備には、何の欠落もない・・・。

 ・・・と「当初想定していた」開館当日朝の清々しい情景という現実逃避に思いをはせていた2020年7月18日の午前2時。何とか最後の棚までこぎつけた、永遠に続くのではないかと思えるディスプレイ作業の途中、階下から鳴り響く轟音が私を現実に呼び戻す。それはKaterieの1階[3]にある「ものづくりLab」[4]にて、ぶん文Bun専用のオリジナル返却ボックスを切り出している音だった。実際には何とか間に合ったからいいものの、まさか開館直前までブックポストが仕上がっていないなんて思いもよらなかった。

 図書館で私が行っているその他の準備も負けず劣らずギリギリで、カウンターまわりの備品にはまだ箱に詰められたまま開封できていないものもあったし、職員同士のロール・プレイングなんてとても手をつけられていない状況だ。本棚の整備でいえばまさに開館直前まで本棚のIDと資料のIDを「紐づける」という作業を行っていたし、掲示物にも正直なところ粗い箇所が散見された。
ここまで大きな遅れが生じた原因は、COVID-19のために移動が制限され開館準備の応援を依頼できるはずだった図書館業界の方々が来村できなくなったことにある。当初は10名程度で行う想定だった開館直前の資料ディスプレイ作業を、実際には2人で行った。WEBカメラで素早く視認することができるLENコードとChange Magicを採用したぶん文Bunであるが、もしそうでなく作業効率の悪いシステム・装備仕様であったら、本当に開館日を遅らせなければならなかったかもしれない。[5]
 以上のような波乱を乗り越えながら、ぶん文Bunはたしかに無事開館した。実際には無事開館したのだが、7月18日の未明頃、この夜には果たして夜明けが来るのだろうかと疑ってしまうほどに私は疲弊し戸惑っていた。図書館構築期間の初期に宮崎県内外多くの図書館様を見学[6]させていただいていた折「開館スケジュールはだいたい遅れるものだよ」と優しくお声がけいただいたことの真意をようやく理解できた。
 もちろんそれは「そのひと手間を惜しまない」[7]という心意気で「図書館と地域をむすぶ協議会」(以下、「図&地協(とんちきょう)」)と構築を進めてきたからだし、図書館(にかぎらず何かしらの施設など)の開館とは往々にしてそういうものなのかもしれない。そしてまた、だからこそぶん文Bunは今日の姿をとることができ、村内外で高い評価を受けることができているのだろう。
 「『図書館の夜を乗り越える』:日本三大秘境椎葉村、クリエイティブ司書爆誕秘話」と題した本論では、おそらくは図書館の立ち上げとしては稀有なケースである「地域おこし協力隊プロデュース」の事例として、ぶん文Bun立ち上げの経緯をご紹介致したい。そのなかでコーディネート業務を委託させていただいた図&地協の図書館づくりに対する哲学・理論にも言及したい。またその前提として、椎葉村という自治体そのものや、地域に馴染む暮らし方と図書館司書業務の「複業」両立というパラレル・キャリアの実現についても論を及ばせたい。
 そうしたことを論じながら、本論の結びとして私が描きたいのは「図書館界の夜明け」である。各方面から聞くところでは、昨今の図書館業界はまさに真夜中・・・混迷の最中にあるように思う。図書購入費をはじめとする予算を失い、文化政策としての意義を問われ、何よりもそこで働く司書・職員の待遇は見るに堪えないものである。いったいその原因はどこにあるのかということについては、本論をお読みの方の胸中にもそれぞれのお思いがあることだろう。
 ぶん文Bunの開館が、そしてその経営・運営が、図書館という存在の再評価を呼び起こすモデルとなればと願い、開館したばかりの身で僭越ではあるが、日本三大秘境[8]の地から「夜明け」を謳いたい。

2. 椎葉の夜

・初めて訪れる日本三大秘境、椎葉村

 2018年12月25日、ぶん文Bun開館の約1年半前にあたるクリスマスの日。私は初めて椎葉村を訪れた。私の生まれであり今も実家がある福岡・博多から車を運転して3時間。九州自動車道の御船ICを降りて[9]からはひたすら山々を眺めながらのドライブであった。山脈の向こう側へと沈みゆく夕陽が美しく、椎葉へ向かう途中にある山都町や五ヶ瀬町といった町並みを見ても、こんな場所に住むのはさぞ気持ちがいいだろうと思った。
 椎葉村へ訪れる目的は、地域おこし協力隊の面接を受けるためだった。令和元年度には全国で5,349名(1,071自治体)[10]が着任しているという地域おこし協力隊の募集に手を挙げたのは、椎葉村が掲げた募集要項にある「クリエイティブ司書」[11]の文字に惹かれたからである。
 要項によると「クリエイティブ司書」とは、新しく椎葉村内に完成する交流施設内の「図書スペース」を構築するというミッションをもち椎葉に定住する者だという。図書館司書の資格有無は問わず、応募に必要な資格と言えば自動車免許くらいだった。たしかに、日本三大秘境と言われるほどの山村で車を運転できないというのは死活問題だろう。
 参考までに本論の筆者である小宮山剛のキャリアを紹介すれば、1990年(したがって本論を執筆している2021年2月時点で30歳)に博多の地で生まれ18歳までを同地で過ごしている。東福岡高等学校を卒業し慶應義塾大学文学部へ進学。同学では英米文学を専攻し、D. H. Lawrenceの英詩から死生観を読み解いた。かと言って就職先は文学と(表層的には)関係なく、東京の満員電車通勤を避けるかのように静岡のガス会社で勤め始めた。燃料電池やガスエンジンの修理、ガス漏れ有無の点検、営業、そして経営企画から広報・新規ブランド立ち上げまで幅広い業務を務め、丸5年の勤務の後に石油化学系の新聞記者として東京の業界新聞社に転職している。元々東京で長く過ごすつもりはなかったが、まさか1年足らずで九州へ戻るチャンスが巡ってくるとは思っていなかった。
 ここで申し上げたいことは、図書館どころか出版社にも書店にも携わったことがないということである。もちろん大学生時代は神保町や慶應の三田メディアセンター(大学図書館)に足しげく通ったが、司書という職に対する知識や前情報というものは一切持ちあわせていなかった。[12]
 とにかくその頃は九州のほとんど真ん中にある山奥で暮らすというある種のロマンに惹かれて椎葉を訪れていたし、曲がりなりにも人並み以上の読書を続けてきた身として、図書館職員という職業も悪くはないだろうというくらいの気持ちであった。また「クリエイティブ司書」という胡散臭くも新鮮でどこか活発な印象を与えるミッション名にも惹かれていた。椎葉での暮らしを満喫しながら、当時既に引き受けはじめていたフリーライター業を副業として、手作り感満載の「図書スペース」を運営していきたい。それはまさに悠々自適のスローライフ・・・そんな想像をしていたものだ。
 結果としてぶん文Bun開館後の現在は「図書スペース」ではなく図書館設置条例も定めた本格的な「図書館」を運営する身として業務にあたっている。地域おこし協力隊の立場は継続しながら図書館業務に関する決定事項に関する大きな裁量を与えていただいており、また協力隊制度に則った副業も可能という状況である。副業としては、ぶん文Bunを切り口とした講演活動などを行うことを含め、東京などの都市圏にある企業へリモート取材を行ったうえでの求人記事の執筆代行などといったライター業を行ってきた。私自身もそうだが、椎葉村のような遠隔地においてはリモートワークが身近であって、COVID-19の流行以前から一定数の村民がZoomなどを活用したことがあるようだった。[13] この背景には、椎葉村が全戸に光ファイバー環境を整備しているという自治体としてのネット環境の充実も関与しているだろう。

・移住者たちの集い、秘境の賑わい

 さて2018年のクリスマスに時を戻そう。村内の民宿に着いた[14]私は早速出かける準備にあたった。その日、椎葉村地域おこし協力隊の先輩方が(まだ面接前にもかかわらず)歓迎会のようなものを開いてくれるということだったので、私は椎葉村の中心部である「椎葉銀座」を歩いて協力隊の一員が住む家屋へと歩いて行った。
 椎葉村の基礎情報として、平家の落人伝説[15]があることや、人口は約2,500人で面積は537.3 km²(東京23区とほぼ同じ)ということを調べていた。人口密度は約5人/km2という想定だったので閑散とした、家などまばらにしか存在しないような山村を想像していたのだが、さすがに中心部には商店が多くみられ、役場の庁舎なんかも存外立派なことに驚いたと記憶している。しかし当時東京都世田谷区に住んでいた私は「クリスマスのイルミネーションが全然ない」という印象を抱かざるをえなかった(ちなみに、きちんと住み始めると住人が細やかに種々様々の工夫をこらしたイルミネーションが散りばめられているということに気づく)。

 宮崎県というのが信じられないくらいに椎葉村の気温は低く、よく調べてみれば村の市街地でも標高が400m程度、最も高いところでは1,000mを超えるというのだから当然の寒さである。私が初めて椎葉村を訪れた日も、ダウン・ジャケットを着こんでなお身体の芯まで冷えたものだった。
 そんななかで地域おこし協力隊の先輩方のもてなしは温かく、協力隊活動としてミニトマトの栽培を行っているという方が猪鍋を用意してくれた。聞けば狩猟のための猟銃免許を取得しており、冬の猟期には狩りに出るのだという。移住者も狩猟の生活に馴染むことができるというのは、伝統的に狩猟の文化が根づいている椎葉村ならではの光景なのかもしれない[16]。食卓にのぼったウリボウ[17]の頭蓋骨には肝を冷やしたが、力強く村の暮らしに馴染む協力隊の先達に頼もしい思いを抱いたものだった。
 椎葉村で活動している地域おこし協力隊は2021年2月現在で9人。宮崎県下ではトップレベルに多く「なぜ椎葉村さんは移住者の獲得にそこまで成功していらっしゃるのですか?」と他自治体の方から聞かれることが多い。協力隊着任者の出身地は宮崎県内の他市町村が2名・関東2名・関西2名・東海1名・九州2名と偏りがない。地域おこし協力隊卒業後の定住率も高く、現在2名がNPO法人を立ち上げ村内に定着し、3名が合同会社などの法人を設立して活躍している。中には椎葉村の長期総合政策策定業務を村から受託する者もおり、椎葉村内での存在感は大きいと言える。
 上記のように記すとまるで順風満帆の自治体のように読めるかもしれないが、実際は地方の小規模自治体の御多分にもれず人口減少に苦しんでいる現状がある。村内に高校がなく進学を機として少年少女たちが村を一度離れてしまうという構造もあって、とくにUターン者の増加に関しては苦慮しているところである。[18]
 こうした状況を受けて、椎葉村では現在Uターン者だけではなくI・Jターンを含む様々な形態の移住者を募集したり、移住まではいかずとも様々なイベントや村の行事の時だけでも「ファン・ベースで」(楽しさゆえに)来村しお手伝いなどをしてくれる「関係人口」の創出に力を入れている。とくに力を入れているのがワーケーション誘致で、直近のニュースとしては2020年発表の「テレワーク先駆者百選」[19]にも選出された日本屈指のリモートワーク推進企業である株式会社キャスター(以下、「キャスター」)との連携協定[20]がある。これは椎葉村の充実したウェブ環境(全戸光ファイバー完備)を活かしたリモートワークをキャスターが推進することで椎葉村におけるIT事業関連の雇用を創出し、仕事と自然豊かな場所でのゆとりある生活を両立してもらうワーケーションの取り組みを加速させることを狙いとした協力関係である。もちろんその拠点は交流拠点施設としてのKaterieであるわけで、全館フリーWi-fi完備の環境を存分に活用してもらいテレワークにあたってもらえるよう整えているし、会員契約制のコワーキングスペース[21]も確保している。また2020年10月19日に執り行われた連携協定の調印式もKaterieにて実施され、ウェブ完結型クラウド契約サービスの「クラウドサイン」[22]を利用し調印が為された。
 着目すべきは、このリモートワーク推進に係る連携協定をコーディネートしたのも椎葉村地域おこし協力隊OBだということである。椎葉村の協力隊には元ガス会社・元政府系金融機関・元保育士・元DTP(Desk Top Publishing)デザイナーなど多様な職歴をもつ人材が集まっており、学歴としても慶應義塾大学・国際基督教大学・横浜国立大学などと有名校を卒業している。多様な経験を活かし、都会と田舎と両方の感性を理解したうえで「複業」のチャレンジを続けるパラレル・ワーカー集団。それが椎葉村地域おこし協力隊であり、かくいう私も自らのホームページ[23]で謳っているとおり「秘境暮らし司書ライター」と二足の草鞋を標榜している。
 「二足の草鞋」と記したが、実際の椎葉暮らしではより多くの活動が待っていた。まずは地区の消防団に所属し、日々の練習や台風・火事などの有事に出動する責務を負っている。九州の御多分にもれず椎葉村にも多くの台風が襲来するため、ぶん文Bun開館直前期などは消防服のまま図書のディスプレイを行わなければならないこともあった。また消防の他にも地区の行事(季節ごとの祭や青年団活動など)があり、2020年12月には念願叶って椎葉神楽も一演目[24]舞わせていただいた。こうした活動全てが「暮らし」のために必要であり、だからこそ村内での関係構築ができるという側面もある。またどの活動も司書としての情報収集(地域住民のニーズ・ヒアリングなど)やKaterieとぶん文Bunで展開しているウェブページ・SNSでの広報に役立っており、日本三大秘境椎葉村で生きる図書館司書としてのキャラクター形成にも大きく役立っている。

 椎葉で過ごす初めての夜から始まった私の椎葉暮らしは、このような充実した姿となっている。私の暮らしぶりや椎葉村が抱える課題と現状についてもご紹介させていただいたことで、読者の皆さまのなかにも「椎葉にはどのような図書館が相応しいか」ということの想像が多少なりとも生まれてきたかもしれない。ここから先は、ぶん文Bunの開館に向けたまさに「夜中」というべき手探り状態の図書館構築プロセスについて、当時の状況を振り返りながらご紹介致したい。

3. 夜を探る

・椎葉だけの図書館はどのようにあるべきか

 私が椎葉村地域おこし協力隊に「クリエイティブ司書」として着任した時点で「椎葉村交流拠点施設」[25]の設計図面は既に仕上がっていた。私のミッションはその中の「図書スペース」の構築についてデザインすることである。
 まず驚いたのは、図書スペースと仮に名づけられた箇所の面積である。「手作り感満載の村の小さな図書スペース」というような文言が募集要項にあったはずだが、平面図には583m2と計算できるスペースが広がっている。本棚の種類や壁の色もカーペットの種類も未定。ただ3本の柱状本棚と3台の巨大顔型本棚の設置だけが決まっていて、もちろんどのような図書館蔵書検索システムを採用するかとか、そもそも図書館をどのような位置づけに設定するか(条例は置くか、司書は何人配置するか、資料形態は・・・などなど図書館機能の確保が可能かどうか)も定まっていないという状態だった。「蔵書は何冊くらいを目標にしているんですか?」と役場の担当者へ問うてみると「4万冊くらいはいきたい」という回答。それはもはや「図書スペース」ではなく「図書館」である。
 私は上記のようなやりとりと椎葉村交流拠点施設の構想がどのように進んできたかを把握するのに、2019年4月から5月末までの約2ヵ月間を費やした。もちろんこの間に新しい生活の整理(地域おこし協力隊としての業務ルーティン確立や消防団への入団、村内各所の祭祀巡り、また青年団としてのボランティア活動など・・・)も多々あったのだが「まずは他の図書館をしっかり見学させていただこう」と判断できるまでに多くの時間を使ってしまったことは事実である。
 この椎葉へ来て初めての春のうちに地域の方々から「図書館をつくる人」として認識[26]してもらったり、図書館司書資格を取得するべく近畿大学通信教育部への入学を決めたりと、助走期間としては悪くないものであったのかもしれない。しかしながら如何せん時間は少なく、既定路線として定まっていた「2020年7月オープン」までのカウントダウンは着々と進行していた。図書館に関する知識はインターネットの検索とわずかばかりの書籍、そして「椎葉にしかない特別な図書館をつくりたい」という熱意だけという心細い状況であったが、この時期に『地域人』で組まれていた図書館特集において図&地協の記事[27]にふれられたのは良かった。
そこで太田剛チーフディレクターが語っていた内容は「地域にイノベーションを起こす図書館」についてであり「幕別モデル」を皮切りとした図書館と地域をむすぶ経済・雇用創出、コミュニケーション創造の取り組みに取材された記事であった。当時の印象は、椎葉のような小規模自治体に必要なのは太田氏が語るような「運営そのものが地域のヒト・コト・モノの交流や人材育成、さらには雇用創出などの地域経済を活性化し、循環させていく、いわばソーシャルイノベーションを生み出す場としての図書館」[28]なのではないだろうかという予感めいた、ある種の憧れであった。もちろん、この憧れは後に結実することになる。
 その他にも同記事には、今思えばそれが全ての始まりだったのだと思わせられるようなポイントが多く散りばめられている。とくに日本十進分類法(以下、「NDC」)ありきでない独自分類で構築された「編集的」な本棚がもたらす、本来はむすびつきたがっている本と本とが有機的に連動しあい利用者をわくわくさせる感覚というものに私は大きく惹かれた。秘境の地である椎葉村の独自性を表現するに相応しい、都会のどこにでもあるようなものではない図書館の構築にはこの「独自分類」が必要ではないだろうかと強く意識したことを覚えている。しかしながら記事中の「十進分類法を土台にしつつ、その縛りから自由な配架もできる」[29]という文言に当時の私が大きく青文字で「?」とメモしているのを見ると、まだその真価を理解するには至っていなかったようだ。
 とはいえ『地域人』の4月号を読んだ時点で私の心は大きく「独自分類」なるものへと傾倒しはじめ、村内の交流拠点施設検討会議などでもその必要性をプレゼンしはじめていた。またこれは椎葉村へ来る前のことだが、縁あって太田氏が暖簾分けを受けている編集工学研究所のことを子細に調べる機会があった。そのときに「編集工学」なる手法の基本的な部分について知識を得ていたため、太田氏の図書館づくりに対する共感も高まったものとみられる。
 加えて、私自身がガス業界に身を置いていたことや石油化学系の新聞記者として取材を続けてきたということも、図&地協の図書館づくりに共鳴する要因となった。図&地協は図書館の運営における図書の購入と装備作業を、図書館がある土地の地域経済圏の中で行うことに注力している。それはつまり地域外の業者などへ外注することによる経済的流出と雇用機会の損失を避けて地元のヒト・モノ・カネを回そうという提言であり、昨今では図書館業界だけにとどまらず、小規模な自治体であればあるほどにこの思考が必要とされている。そして対外への経済的流出というのは地方自治体が抱える問題であると同時に、まさに日本のエネルギー業界全体が抱えている課題である。日本は燃料として活用できる鉱物資源に恵まれていないため石油・天然ガス・石炭などあらゆる資源の多くを海外から購入し、またガソリンや軽油、灯油、重油などの石油製品に関してもその多くを輸入に頼っている状況である。業界新聞記者の立場でこれらの輸出・輸入に関する数値を追っていた身として、またガス会社の一員という立場で天然ガスの市場動向を常に見守っていた者として、ワールド・スケールの化石燃料市場を椎葉村という一つの小さな自治体スケールにおける経済循環モデルへと思考変換することは容易だった。
 図書を購入するときの購入費用や装備費用・・・これらは是非とも村内の事業者と提携したかたちをとって経済的流出を防がなければならない。椎葉には書店もなければ太田氏が手掛けた他図書館でみられるような福祉施設との図書装備作業における連携も難しそうであるとの村内の見解があったが、それらを解決して村内に図書館を中心とするソーシャルイノベーションの仕組みを築いてこそ椎葉の図書館の成功がみえてくるという確信が生まれていた。

・秘境の地から全国行脚、理想の図書館をもとめて

 こうして「秘境の図書館はどのようにあるべきか?」という問いに対する微かな手ごたえを得ながら全国で30館の図書館巡りを始めたのが2019年6月頃である。図書館巡業の皮切りである宮崎県内の図書館巡りでは椎葉村が「高千穂郷・椎葉山地域」として世界農業遺産(GIAHS)に登録されたことを記念し制作した『りんたろうといのちの種』[30]を手土産に行脚した。それから出張や休暇を活用し九州各所の図書館を見学させていただき、いよいよ8月初旬に栃木の「ふみの森もてぎ」[31]と高知の「ゆすはら雲の上の図書館」[32]を訪れることになった。図&地協コーディネートの図書館であり独自分類を採用していることから私が着目していた2館である。
 この頃には『地域人』以外の図&地協に関する資料[33]も着々と入手できており「独自分類」の肝となる「LENコード」[34]に関する調査問い合わせを進めるなかで、図&地協の事務局を務めるナカバヤシ株式会社(以下、ナカバヤシ)や太田氏本人との面識を得ることに成功していた。
 ことの経緯はいたって簡単で、私が各方面へ問い合わせをしているうちに「椎葉村という九州の村に何か図&地協のことを探っている者がいるらしい」という情報が広まり、結果としてお繋がりを生むことになったわけである。このことから言えるのは、どのような悩みをもっている場合でも、どんなに出逢いたい相手が遠くに思えても、目の前の問い合わせフォームやSNSの申請ボタン一つから事態は変化するということである。初めのひと押しを恐れなければ、意志ある石は転がり続ける。
 ふみの森もてぎへは図&地協の方々にご案内いただき、現地では関誠二館長(当時)をはじめとする職員の皆様から熱心なレクチャーを受けることができた。とくに道の駅に据えた書店から本を購入し地域内での経済流通を図るモデルを目の当たりにしたときは、すぐさま椎葉村内にもある物産館「平家本陣」[35]でも実現できそうだというアイデアが浮かび、これは後々大きな手がかりとなった。
 ふみの森もてぎ内部では、ディスプレイ・デザインの専門集団である株式会社HIGASHI-GUMI(以下、HIGASHI-GUMI)がオリジナル製作したという書架をみれば「椎葉にも少しは導入できたらな」と思い(後に全面導入することになる)、館内のいたるところで愛敬をふりまいているキャラクター「ゆずも」をみれば「うちにもキャラクターなんかいたらいいかもしれない」と思い(ぶん文Bunのキャラクターが誕生する経緯について後述する)、職員の方の熱意ある図書館紹介から大きなエネルギーをいただいた。
栃木の茂木町からその日のうちに高知県へ飛び、翌日にはゆすはら雲の上の図書館にて見目佳寿子館長による懇切丁寧なご案内を受けた。ここではその隈研吾建築に圧倒されたのはもちろんだが、館のメインストリートである「いろはウォール」をはじめとする独自分類[36]が彩る書架の見事さに惚れ惚れした。何よりも印象に残ったのは「小説以外の棚が面白い」ということである。
 「図書館好き」や「本好き」というとどこか「小説を読んでいる人、フィクションを好む人」というイメージをぬぐい切れないところがある。だからこそ多くの図書館の蔵書構成においてNDCの「913.6」がその多くを占めるのだろうし、それ以外の書棚にいくら「社会のこと」とか「科学の不思議」とかいうようなNDCから脱しきれていない(なんとか一般人にも魅力が伝わるよう努力した)コピーを貼り付けたところで興味をもってもらいづらいという事実があるのだろう。「本のある広場」を標榜しながら多くの図書館が「広場化」できていないし、いわば「元から本が好きな人のため」だけにある場所としての図書館になってしまっている場合が多いから、そこで勤務する司書のはたらきも正しく評価されないという悪循環が生まれている。図書館が本好きのためだけのものとして見做されてしまうことは、とりもなおさず図書館司書・職員もまた本好きのためだけの存在ということになってしまうのである。
 雲の上の図書館には、この世界の森羅万象を表す書物がどれほどふんだんにあるかというロマンで子どもから大人までを魅了する力があった。「いろはにほへと」の文字で分けられた棚の中では本と本が意志をもってむすびつきあっているかのようで、その書棚を眺めながら、一冊一冊の本がなぜこの場所にたどり着いたのかという想像が絶えることはなかった。まさに「梼原町だから」存在する棚ばかりといった印象で、その土地ならではの図書館を表現するにはやはり独自分類でのディスプレイ[37]しかないと強く確信した。

・・・

 梼原町を出るとそのまま高知空港へ向かい、坂本龍馬像との写真を撮る間もなく熊本空港[38]へと飛んだ。帰りの機内で濃密な図書館ツアーを振り返りながら、椎葉の土地に図&地協の図書館づくりを再現するとどのような姿が浮かぶだろうかと想像してみた。しかしながら狭いソラシドエアの機内では空間創造の思念はあまり深まらず、果たしてどうなることやらという不安のほうが大きかったように思う。
 とはいえ栃木、高知への視察を通じて「なぜ人が本のある空間にわくわくするのか」ということの秘訣を確実につかむことができた。あとはそれを、どのようにして日本三大秘境の地で実現するかというハードルを乗り越えていくのみであった。

4. 夜を歩みだす

・まず「なぜ図書館か」を理解する

 栃木、高知での視察を終えてもなお動きの多い日々が続いた。図書館と地域をむすぶ協議会(以下「図(と)&(ん)地協(ちきょう)」)プロデュースの図書館を見学することはもちろんだが、それに留まらず様々な図書館の在り方を自身の目で感じておきたかった。私は信州や中国地方、もちろん九州各地へも足を伸ばし、様々な方々から多くのご教示をいただいた。とくにKaterieと同じく「ものづくり」を司るラボ機能をお持ちの県立長野図書館や福智町図書館・歴史資料館「ふくちのち」の皆様からは、図書館だけでなく複合館の運営に関する在り方についてもご助言をいただくことができた。
 図書館づくりの方針を固めていく一方で、村での暮らしの地盤も固めなくてはならなかった。夏から秋にかけてはイベントが目白押しといった状況で「全国ふるさと甲子園」[39]という秋葉原で開催されたイベントにてミツバチのコスプレをして椎葉産蜂蜜のプロモーションを行ったり、8月中は週に3回もの練習を行い宮崎県下の青年団が集うソフトボール大会へ出場したりした。秋ごろは台風が襲来するため消防団員として何回も土嚢積みに出かけたし、フリーライターとして引き受けている記事執筆についても依頼が途切れることはなかった。またもちろん、図書館司書資格を取得するための通信教育課程における授業・レポート・試験も並行して行わなくてはならない。新たな図書館を創りあげながら新たな生活基盤を築くというのは非常にタフな取り組みであった。

 本題である図書館立ち上げにおいては、私が全国各地で得てきた情報を基に椎葉村における図書館づくりの方針に係る合意が形成されはじめていた。秋口には図&地協とオンラインでの顔合わせなどを行い、10月頃には一度椎葉村へおいでいただくという運びになっていた。2020年7月に開館する図書館のプロデュース業務が始まる時期としては暴力的なまでに遅い業務開始なのかもしれない。それでも私は、村内での「図書館づくりに本腰を入れるんだ」という前提づくりに時間をかけたかった。検討委員会内でのプレゼンや首長への直接プレゼンなどを繰り返し行ったし、明るい選挙推進協会での講演など役場外の方に聴講いただく場でも図書館づくりについてお話しし「クリエイティブ司書は本気だ」という認識を浸透させることに注力した。
 図&地協の皆さんが椎葉村を訪れる前までの時期、私はあえて独自分類に関する詳しい説明や選書における編集工学的なエッセンスなどの詳細をくどくどと語ることはなかった。それは、ただでさえ今まで図書館が無かった椎葉という小さな村で未知の用語を連発することによって村の皆さんの関心を削ぐことをしたくなかったからだし、既に開館まで1年を切っているという直前期であるとはいえ、順を追って合意を形成することが最も大切であると自覚していたからである。
 私がここで言う「合意形成」とはとりもなおさず「なぜ図書館をつくるのか」ということについてである。以前の職でもブランディングを手掛けてきた私としては事業の存在意義を言葉に落とし込むこと、すなわちコアコンピタンスのキャッチコピー化を通じて「~だから図書館が必要ですよね」という頑強な理由づけを行うことこそが新規事業立ち上げの根幹になければならないと考えている。しかしながら私が地域おこし協力隊として着任した当初の「椎葉村交流拠点施設」が委ねられた言葉は「村民の憩いの場」であるとか「子どもたちの未来のための図書館」などというありきたりで凡庸な目標が掲げられているのみだった。こういった言葉はとってつけたものであることが少なくなく、ここにクリエイティブを加えずにそのまま完成した概念として披露されてしまう事例が、とくに自治体企画のハコモノなどに散見される。
 ただ椎葉村の場合は「子どもたちに喜んでほしい」という強い思いが、首長をはじめとした多くの人々に浸透していた。凡庸な言葉であり当たり前のことかもしれないが、大前提としての思いや覚悟のようなものが自治体のなかにやさしく浸透していたことは非常に大きな要素であった。

・椎葉にできる新しくて懐かしい場所を「日本ミツバチ」で表現する

 「クリエイティブ司書」着任当初から秋ごろまでの半年間、私はほとんどの時間を椎葉村交流拠点施設ならびにその中に位置づけられる図書スペースのコンセプトづくりに捧げた。先に述べたような理由で新しく事業を興す際はこのコンセプトこそが事業の存在理由となり、今後も継続されるための羅針盤となるのだ。私は図&地協の皆さんが椎葉へいらっしゃって本格的な図書館づくりが始まるまでの間、まるで呪文のように交流拠点施設のコンセプトメッセージを唱え続けた。あらゆるプレゼン機会でそれを読み上げ、捕捉し、解釈を説明し、聴き手の反応を窺った。得心いかない顔が見られた場合はなおも言葉を継ぎ、とにかくコンセプトへの理解を促すことに注力した。図書館の分類法や実例比較については二の次で、とにかく「なぜ椎葉に図書館か」ということが大切だった。下記に、そのコンセプトメッセージを引用する。

子どもたちはまるで、椎葉の日本みつばち。
気にいってもらえる巣箱をつくらないと、
みつばちは巣箱に入ってくれません。
そのかわり一度気にいったら、巣箱が同じ場所にあるかぎり、
きっと帰って来てくれるはず。

みつばちは椎葉の山に咲く花の蜜を集め、
その蜜は巣箱の中で、美しく味わい豊かな蜂蜜に熟成します。
同じように椎葉の子どもたちにもこの場所で、
何冊もの本を味わってほしい。
新しいものづくりを知ってほしい。
新しいはたらきかたを知ってほしい。
そしてここに集まる椎葉の大人たちや椎葉を訪れる人たちと、
新しい出会いを経験してほしい。

子どもたちにとって、
いまの「新しい」は、いつかの「懐かしい」にかわるから。
飛びたて、椎葉のみつばちたち。
そしていつでも、帰っておいで。

Katerieは椎葉にしかない、新しくて懐かしい場所。
椎葉の未来が、ここからはじまる。
ここは、未来への巣箱です。[40] 

 コンセプトメッセージは、包括的であると同時に具体性を伴わなければならない。すなわち、椎葉村交流拠点施設が目指す「子どもたちのための学びの場所(図書館)」「村内外の人々の交流の場」「テレワークの推進」「新しい仕事やものづくりへの知見」「UIターン創出」など様々な概念を包括してそれらが詰まった場所であることを示しつつ、具体的にヴィヴィッドなイメージが浮かぶストーリーでなければならない。それでいて椎葉ユニークなメッセージとして、可愛げがありつつも洗練されたものである必要がある。
 私はこうした要素を満たす存在として、椎葉でとても大切にされている日本ミツバチに着目した。椎葉には専業の養蜂家は存在しないものの、百姓仕事の一環としてあちこちに「ブンコ」[41]が据えられている。たとえば役場の職員なども日本ミツバチのブンコを持っており、手袋もせず素手で巣の世話をする様子は我が子を愛でるかのようである。私はその光景に椎葉の子どもが愛されながら成長する姿を重ねた。さらに面白いことに、日本ミツバチはその帰巣本能の強さでも名高く「一度気にいった巣箱には帰り続ける」という習性があることにも着目した。

こうした情報を統合することで「まるで子どものように愛される日本ミツバチ」という椎葉特有の情緒的な光景が、「一度気にいった巣箱」(Katerie)に帰り続けるという「UIターン創出」の政策とも折り合ったメッセージとして浮かびあがってきたのである。こうして、椎葉の子ども達が日本ミツバチのようにすくすくと美味しい蜜[42](図書館の本)を味わいながら育ち、その巣箱(館)を気にいることで、大人になってまた椎葉の地に帰ってくる[43]というストーリーが完成した。
 そしてもう一つコンセプトメッセージのなかで注力したのは「新しいだけのハコモノができる」というイメージを払拭することであった。もちろん図書館づくりというのは一歩間違えばハコモノ止まりになってしまうのかもしれないが、私たちが椎葉村で目指すのは、その場所を拠点として「人の・ものごとの・お金の」流れが生まれる施設づくりである。更には「椎葉だけの価値」が生まれる可能性についてもメッセージに含むことを求められた。
 もちろん、どんな図書館だって「~だけの」という価値を謳うだろうし実際にそうしたオリジナルなものをもっているのかもしれない。椎葉村にしてみても「ONLY ONE Shiiba」[44]というブランディングをかねてより継続しており、商工観光においても「椎葉だけ」を強く打ち出してきた。しかしこういう「~だけ」を真正面からメッセージ化することはもはや「日本一の~」とか「元祖~」の乱立みたいなもので、その成果はクリエイティブ次第というところだ。
 したがって私の場合は「椎葉らしさ」を「椎葉で大切にしてきたもの」と捉えなおし、それを「懐かしさ」として表現した。新しい交流拠点施設が完成してそこには最先端の技術が導入[45]されるけれども、椎葉村で大切にされ続けてきたムードや文化も継承する場所でもあるということをメッセージに織り込むこと。私はコンセプトメッセージにそのような要素を込めるために、コアコピーとして「新しいって、懐かしい」[46]を打ち出した。
 椎葉村交流拠点施設がもつ新しさの中に懐かしい記憶や風景が蘇ることや、子どもとしてその新しさを享受した利用者が大人になった時に親しみのある懐かしさを感じるような場所を目指すこと。こうした「約束」をメッセージ化し村内で広く周知することで、椎葉村交流拠点施設が新設される目的を共有することに私は専念した。ブランディングとはすなわち、ユーザーが享受できる価値を約束し、それを情緒あるクリエイティブのかたちでお示しすることにほかならないのだ。
 時期は遅くなってしまったかもしれないが、そもそも着任が遅かったのだからと開き直りコンセプトメッセージの浸透に時間をかけた。ブランディングにおいて、インナーブランディングの成否が大きなファクターになることは自身の経験としても理解できていたし、とくに椎葉のような団結力のある自治体ではそれが重要になる。こうした時期において、首長をはじめとして交流拠点施設の企画運営に関与する職員などで急かす人がいなかったことは良かった。この点はコンセプト案の作り込みから浸透までを丁寧に行いたいという私の意向をよく信じていただき、一丸となって施設づくりにあたることができたという証左であると考えている。

・コンセプト・メイクの成否が図書館の機能(予算)を左右する

 こうして椎葉村交流拠点施設、そして図書スペース(いずれも当時の呼称)のコンセプトを自ら描き、自らプレゼンすること。そしてそれを初期の最重要事項に掲げることで、図書館の仕様や各設備に関する進言も庁内で受け入れられ易くなったように思う。もちろんこれには首長から担当者まで様々な立場にある職員の熱意や覚悟もモノを言うところであるが、「なぜ図書館か」というコンセプト・メイクにブレが無かったことが大きな要因となっただろう。「予算が原因で」頓挫する企画というのはその方向性や目的が定まっていない場合が多く、そうしたときにこそ立ち返るべきなのがブランディングの本質である「何のためか」という問題である。
 こうしてコンセプトメッセージの理解浸透に力を注いでいるうちに、秋は深まり冬がやってきた。年末あたりからは図&地協の皆さんも本格的に椎葉入りして、わずか半年程度という期限の中で「日本でここにしかない」と言える図書館を築き上げるための、タイトで高次元な図書館づくりが始まった。ご存知のとおり2020年初頭からはCOVID-19のために都市部と椎葉村との行き来が難しくなったりもしたが、オンライン・ツールも活用しながらなんとか乗り切ることができた。
 次の項では図&地協との図書館づくりでどのようなファクト(機能)が築き上げられたかということを述べたいのだが、それはまさに現在図書館界がおかれている「夜」を乗り越えるための方法論の宝庫である。椎葉村のためだけのオリジナル仕様で手がけられた図書館コーディネートにはもちろん大きな予算が必要とされたが、前段の「なぜ図書館か」というコンセプト・メイクに時間をかけたおかげで、図&地協チーフディレクターの太田氏も「図&地協がもつ図書館コーディネート力の集大成」と評したほどに自由で編集的な図書館が実現した。目的と未来へのビジョンをしっかりと共有し、熱意のある人間たちが熱意のある自治体と繋がることができれば、図書館の可能性は大きく拓けるのだ。
 ここまで概ね時系列に沿って、私がいかにして椎葉村の図書館づくりを担うようになり、その方針を彩ってきたのかを論じてきた。次の「夜を乗り越える」の項で私が述べる椎葉村図書館コーディネートにおけるエッセンスたちはまさに本論の核となる部分であるが、そのどれもが2019年の12月頃から2020年7月までというわずか半年程度の期間中、同時並行的に企画・実行されたものだとご理解いただきたい。したがって時系列に沿いこれらをご説明することは不可能であるから、椎葉村図書館を構成する要素ごとにその実績をご紹介することにする。
 今から振り返ればとても半年程度の間に起きた出来事とは思えないほどに濃密な要素を孕むご紹介内容となるのだが、ここまで「手を抜かない」図書館づくりが椎葉の地で実現したということには感慨深いものがある。

5. 夜を乗り越える

・愛称「ぶん文Bun」と「コハチロー」の誕生

 椎葉村図書館のファクト(機能面)整備についての本題に入る前に、その愛称である「ぶん文Bun」がどのように決定したかという経緯を述べておきたい。椎葉村交流拠点施設の愛称「Katerie(かてりえ)」が決定した経緯については椎葉村が公募を実施したと第3項「夜を探る」の注25で記述したが、実はその際に「Bun Bun」(読みは「ブンブン」)という名称が応募作品のなかにあって、それこそが「ぶん文Bun」誕生の発端である。当初は複合館の中の図書館にだけ別途名称を設ける予定はなかったものの、前述のとおり館のコンセプトメッセージの主要なファクターとして日本ミツバチが存在することもあり、その羽音からきた可愛らしい名称を見た椎葉村の選考委としては「Katerieは素晴らしいが、Bun Bunも捨てがたい」と考えるに至った。
 結果的に椎葉村としては、Katerieの主要設備である図書館(2020年初頭には概ね、条例を設置した正式な公共図書館とする方針が色濃くなっていた)にもう一つの「顔」として、別個愛称を設けようという向きになった。
 その後「ぶん文Bun」に愛称が決まるまでの交渉などには私自身があたったのだが、まず「Bun Bun」に関して特許情報を調べると、とある製薬会社様がアルファベットだけでなくカタカナ、ひらがなでもしっかりと権利を取得しておられた。また「Bun Bun Bun」と三重に重ねてみてはどうかという案もむなしく、同社は「Bun Bun Bun」、「ぶんぶんぶん」、「ブンブンブン」でも堅く権利を取得しておられた。
 それでも諦めきれず、私はその企業様の法務担当の方へ連絡をとり、ひらがな・漢字・アルファベットの組み合わせ表記で統一することや役務の違いなどをご共有させていただいた。いくつかの電話・文書のやりとりを通じて先方からもよくご理解をいただき、温和なかたちで「ぶん文Bun」の愛称・表記をお認めいただくことができたのである。
 こうして「ぶん文Bun」の愛称が正式に誕生したのは2020年3月頃になってしまったが、製薬会社様の特許情報を見つけた際に「もうだめだ」と思うだけでなく「懇切に説明すればわかっていただけるのではないか」と諦めない意志を持てたことが非常に良かった。それもまた、私や企画チームのなかに日本ミツバチを主題としたコンセプトメッセージが浸透していたおかげと考えている。
 そして日本ミツバチを主役とするイメージはKaterieとぶん文Bunのロゴを制作したデザイナーの方にもいつの間にか浸透していた。ロゴデザインのやり取りをしていたとき、その方から唐突に「こんなのどうですか」という具合のメッセージが届き、添付されていたのが可愛らしい日本ミツバチのイラストだった。
 とくに依頼をしたわけではなかったが、Katerieやぶん文Bunに取り組むチーム全体にコンセプトメッセージが浸透していたせいだろうか、自然発生的にそんなクリエイティブが生まれたのである。私がそのあと行ったのは、そのミツバチにコハチローと名前をつけ、コンセプトをつくり、キャラ設定を行うだけだった[47]。今では本蜂(本人)が進んでTwitterアカウント[48]を運営し、ぶん文Bunの発信を日々実施してくれている。

 さて以降は、ぶん文Bunの図書館づくりにおける重要過程を述べてまいりたい。これらについては同時並行的に企画作業が進行していったため、時系列順ではなく下記のような項目別に論じたいと考えている。

① 椎葉村ならではの、この地にふさわしい選書と独自分類の考案
② 椎葉独自の分類を活かすディスプレイ方法の検討
③ 椎葉独自の分類と画期的なディスプレイ方法を活かすシステムの採用
④ 図書館としての建築機能の確保・補完
⑤ 地域に利益をもたらす図書館イノベーションの創造

・意志あるところ本あり(椎葉村ならではの、この地にふさわしい選書と独自分類の考案)

 まだ私が地域おこし協力隊として「クリエイティブ司書」に着任したての頃、ありがたいことに新館計画を聞きつけた図書館業者の方が営業に来てくださった。数々の便利なサービスを備えたそちらの業者様はオンライン選書システムの提供をしてくださるだけでなく、毎月の選書も自動化してくださり尚且つ装備費用についても無料というサービスを展開しているとのことだった。当初は「便利だしコスト・メリットも出るだろう」と考え、良い機会をいただいたものだと考えていた。
 しかしながら数々の図書館を巡り見学させていただいているうちに、私は自館で選書を行うことの重要性を学ぶことになる。九州のとある図書館でお務めのベテラン司書の方から「選書は絶対に自館で行ったほうがいいですよ」とご助言をいただいたこともあったし、何よりも自らの眼で見て「生きている棚」と「生きていない棚」の差が歴然としていることに気がついたのだ。
 私が「生きている」と感じた棚には、もちろん前述の図&地協プロデュースの棚[49]のケースを主としているのだが、その土地独自の風合いを表現する本が飾られているという印象があった。それは「並べられている」(配架)というのではなく、まさに「飾られている」(ディスプレイ)といった感じであって、良い棚を眺める時間というのは「そこにある本はなぜそこに飾られているのか」という図書館ごとの意志を垣間見ることができる瞬間だった。
 往々にして私が「意志がある」と感じた棚はその図書館が気力を上げて編集したであろう特集棚の場合が多く、「社会科学」とか「自然科学」とかいう一般的な分類の棚からその図書館の意志を感じることは少なかった。いっそのこと、全てが特集棚のような自由に編集できる棚だったら良かろうにと思ったものであるが、それは管理都合上不可能だろうとも察していた。[50]
 もし私がこうした「生きている棚」の発見を経験することなく、選書を丸ごと委託できる業者様と椎葉村が提携していたら、ぶん文Bunは面白くもなんともないものになっていただろう。それは、椎葉村という宮崎県と熊本県との県境に位置する秘境の山村に対して他の(たとえば政令指定都市の街中の)図書館と同じような選書を手がけていただいても「相応しいはずがない」からである。仮に地域ごとの特色を加味して差配していただいたとしても、この土地に生きこの館の空気を日々味わう者でないかぎり、椎葉に相応しい選書はできないように思う。
 これは椎葉に限ったことではなく、本来図書館の選書とはそういうものではないだろうか。公共図書館の場合はおよそ自治体ごとに設けられるわけだから、その土地その土地によって館を取り巻く環境が異なるだろう。その土地柄や地理的環境、来館者の人柄・属性・性質、土地の歴史、ルーツ、そしてその場所にだけ宿る匂いや雰囲気。そうしたものを感じとり「その土地の在り方」や「その土地にどうなってほしいかという意志」を本などの資料という具体物で表現すること。それこそ、図書館が本来果たすべき選書行為であるはずだ。
 もちろんこれは選書だけでなくディスプレイの威力によっても大きく左右されることだが(後述する)、「その土地にどうなってほしいかという意志」を込めた選書ができるのは、その土地に住まいその土地のことを知ろうとし、その土地の将来的発展を願う者でしかない。
 たとえば私の場合「選書」とは椎葉村に住むことからはじまり、椎葉のルーツを探り、椎葉の未来をどう紡いでいくかということであった。地域の文化など(焼畑や神楽、狩猟採集など)に関する図書を収集するというのは当たり前すぎるほどに当たり前で、図書館の選書で必要とされるのは、その本がディスプレイされているのを見ると「なぜその本が選ばれたのか」という意志を感じられるようなセレクションである。
 椎葉村図書館でわかり易いのは食文化関連の棚のワンコーナーである。そこには日本酒、ワイン、クラフトビール、ウィスキー、カクテル類、そして果てはアブサンまでというように、酒類や酒の飲み方に関する図書が多くディスプレイしてあり、ナビゲーションボード[51]には「文化的飲酒」と記載してある。これは椎葉村が宮崎県の村であることをふまえると、意外なことかもしれない。焼酎大国とも言われる宮崎県の図書館であるのに、また実際に椎葉でひろく飲まれているのは焼酎であるのに、手厚いのはその他の酒類なのである。
 どういうことかと言えば、この選書とディスプレイに私は「椎葉の飲酒文化がどうなってほしいか」という意志を込めたのである。現状椎葉村には、予約無しでふらっと立ち寄れるような「飲み屋さん」やバーなどの場所がない。村内で夜間に飲酒を伴う外食をとろうとするならば、民宿や食堂に予約を入れ、決まった時間に決まった人数で訪れる必要がある[52]。そうすると必然的に自宅などでの飲酒が増え、安価な焼酎を買い新しい交流も無いまま寂しく飲むということが増えてしまう。
 私は、椎葉にとって望ましい酒事情とは上記のような状態ではなく、多様な酒文化を愉しみながらそれを機に人と人との交流が起きるような状態であると考えている。人と人との交流が起きるということはそのための場所・装置としての飲食店が必要であるし(活性化)、その結果起こる活発なアイデアが活きることになる(企画創出)。そのためにはただ飲むための酒ではなくて、人と語らうに足る酒の旨さとその背景としての文化が必要である。だからこそぶん文BunやKaterieでは館内での飲酒を禁止しておらず、酒類持ち込みの条件を「文化的飲酒であること」とお伝えしているし、ナビゲーションボードにもそう文言を加えているのだ。
 すなわちこの場合「地元でよく飲まれる焼酎の資料を充実させよう」というのが当たり前で平凡な選書であって(焼酎の酒蔵がある場合などはその資料を充実させるという意志が重視されるだろうが、椎葉にはない)、私がとった方策である「椎葉に未来を築く原動力となるような文化的飲酒を導き入れたいから、その発端となるような資料を充実させよう」というのが「意志のある選書」である。そしてそうした地域の未来を願った選書を手がけていると、不思議なことにその意志に見合う本が見つかる。このことを指して私は「意志あるところ本あり」と唱えている。[53]

・本は本来的にむすびつきたがっている(椎葉独自の分類を活かすディスプレイ方法の検討)

 ぶん文Bunの場合、ディスプレイ内容を考えるよりも分類を考えるよりも「椎葉に相応しい本を選ぶ」プロセスが先だったのだが、それは他でもなく「良い本を仕入れる」ことに集中したことの表れである。図&地協に所属している株式会社トーハン(以下、トーハン)にご尽力いただき、図書展示会や図書館選書サポートシステムを通じた発注を行い、椎葉村独自の商流(後述する)にのせてご納品をいただいた。一冊一冊を確かめて椎葉村のどんな読者がそれを欲しているかを想像しながら選書するプロセスは、まさにぶん文Bunが有することになる知的体系の遺伝子を紡いでいく作業そのものであった。
 そうして椎葉に相応しい選書を行ってはじめて、私は「成長する有機体」という図書館業界で引用され尽くしているランガナタンの言葉の真意にふれたように思う。一冊の本を選ぶたびにその次選ぶべき本が想起され、時には回顧のプロセスを含み行きつ戻りつしながら、本たちが共鳴するのがわかる。それはまさに有機的な繋がりをもつ知の体系であり、そこで実感したのは「本は本来的にむすびつきたがっている」ということだった。
 タイトルの直接的なむすびつきでいえば、たとえば「日本人」とタイトルに含まれる本たちを集めてみる。すると「日本人とは何か」という謎に対する答えが多角的に表出してくるのだ。他にも言語学でいう換喩[54]のような連想効果で表層的には関係なかった本たちがむすびつくケースもあり、あるいは漫画『トリコ』の隣に『トルコ料理の誘惑:私を虜にした食と文化』がむすびつけられるような、単なる駄洒落の場合もある。

 本を集めながら様々なジャンル分けを行っていると、前述のような本と本のむすびつき方は非常に多様で、とても左から右へ並べるだけのNDC順の配架では表現しきれないことに気づく。すなわち、一般的な書架のように横向きの並びだけを想定した場合、そこに奥行きがなく上下の動きもないため、せっかく多様なむすびつきを示したがっている本たちのダイナミズムを損ねてしまうのだ。ましてやNDC順に並べていないと混乱が起きてしまう配架方法では、せっかく選書した図書たちが無機質な資料の集積と化してしまう。
 そうすると解決策は、平面的な二次元の書架でなく「立体的で三次元の」書架を考案するということになる。ぶん文Bunでは実際に壁際の書架以外を全てジャングル・ジム状に形成されたオリジナル書架で構成した。大型展示や什器製作を手掛けるHIGASHI-GUMIに図&地協から依頼して企画・製作していただいたぶん文Bunの書架は、ひとつひとつのブロックが「エディット・キューブ」というまさに編集自在な箱から成り、鉄紺色の塗装が施された鉄骨素材のキューブを自由に組み合わせたうえでボルト固定するという堅牢なつくりである。また塗料は黒板仕様となっているため、ダストレスチョークを使えば粉末が飛び散ることもなく館内ナビゲーションのチョーク・アートを施すことができる。
 更にオリジナリティを増すために、オリジナル書架の書架板には椎葉で採れた杉材を採用した。ソリッドな鉄骨とニスの少ない自然な風合いのある杉板がほどよくマッチし、文化的で洗練されていながらもどこか懐かしい居心地を演出する本棚をデザインすることに成功した。

 その本棚をどのように配置したかというと、全ての図書を23のコーナーにわけてディスプレイできるようブロック分けし、それぞれのエリアに漢字一文字の分類記号を振った。

〇ぶん文Bun独自分類の一覧(冊子版利用案内から抜粋)

・「椎葉の【風】」:椎葉村の風土・風習・風景にはじまり、九州地域の地域資料を集めた分類

・「日本人の【心】」:日本の原風景とも言われる椎葉の地から日本人のルーツをひもとく、「日本人とは」何かを問う分類

・「時代の【波】」:今の時代にどんな波が来ているのかを手早く、よく知ることができる文庫や新書を集める分類

・「未来の【夢】」:キーワードは「新しいって、懐かしい」。あの頃からみた未来と、今からみた過去とが夢のなかのように交錯する。そんな、時代の移り変わりを表現する分類

・「食文化の【環】」:食べることや料理・お菓子づくりはもちろん、いのちの環をつなぐ農業や牧畜も含んだ分類

・「心と知の【連】」:人と人とが交わり縁が連なる場所としてのコミュニティ形成や、旅先での出会い…またその手段としての言語やソーシャルメディアなどについて集めた分類

・「本気の【遊】/根気の【学】」:遊びと学びを両立し生きていくために。生涯続けるための趣味について学んだり、スポーツやアウトドアで養われる遊び心を育む分類

・「暮らしに【活】」:暮らしを活き活きとさせてくれる本や、気晴らしの趣味について知ることができる分類。生き方や趣味のDIY、ファッションなどもここに集めてみました

・「心と体を【保】」:健康・医療に関わることや、生きること・死ぬこと。また心と体のバランスを保つためのメンタルケアやフィジカルケアについての知識もこの本棚に集まっています

・「人生の【種】」:カセギとツトメ…。経済・経営やボランティアに関わるアイデアの「種」を集めた分類。これからのビジネスを考えるうえで欠かせないSDGsもここに集めています

・「未来の【望】」:10代のうちに読む!と息巻いてしまうほどに知りたい欲求を刺激し、明るい未来への望に思いをはせることができるような本を集めた分類。将来どんな生き方をしようかと、考えられる場所です

・「全集の【壁】」:図書館司書が作業するスペースを囲う壁に詰められた文学全集はまさに壮観。よく見ると時代順にディスプレイされていて、ここにも細やかなこだわりがみられます

・「雑誌の【滝】」:まるで滝の水が落ちていくかのように次々と発信される情報の激流である雑誌を、この棚に集めてみました

・「おすすめ【番】」:ぶん文Bunオリジナルキャラクターの「コハチロー」がおすすめしてくれる本を集める本棚です

・「現代の【剣】」:日本、世界の現代を斬る!社会科学を基盤として、国際問題や社会課題を批判的視点から考察する本を集めた棚です。世界の問題、日本の問題を立体的に編集しました

・「科学の【眼】」:科学を通せば、見えないものが見えてくる?生きものから宇宙まで、あらゆる世界をのぞく眼としての自然科学本を集めました

・「人類の【歩】」:人類は何を考え、何を営んだか?そんな歴史と叡智を集めた人文科学の分類です。西洋~日本~東洋、と描かれる人類の歩のグラデーションを辿ってみましょう

・「芸術の【彩】」:ぶん文Bunを彩る華やかな芸術と芸能の分類。日本~世界にわたる、数々の美と技と芸にあそんでみましょう

・「文学の【森】」:明治~現代の日本文学作品をあるく年表を、本棚という三次元の空間で編集します。「あいうえお順」じゃない小説の森に迷い込み、新たな作家との出会いを見つけてください

・「文学の【海】」:ノーベル文学賞受賞作、イギリス・アメリカ文学を中心に、過去から現代にわたって集められた世界中の文学作品の海を泳いでみましょう

・「教養の【礎】」:日本の古典や詩歌に込められた遊び心や恋心こそ教養の礎。古典に込められた文学の響きに耳をすませ、ことばの匠たちから本当の学びとは何かを教わってみましょう

・「造本の【華】」:いつから「本は読むもの」と決められたんだろう。ここにあるのは「眺める本」。製本の技や印刷の極を目の前にすれば、ただそれを見ているだけでいいというものです

 以上のような独自分類の表示に「漢字」を採用したのは、それが日本語のもつ形象の美しさと表意の豊かさを集約した記号であるからだ。来館者は各分類に掲げられたガソライトに浮かびあがる漢字を目にし、引き寄せられ、書架のうちに築かれた三次元的な本の繋がりへと誘われる。無味乾燥な「1」とか「2」という記号ではなくそこに抽象度が適度に高い意味性をもたせることで、分類記号が図書館全体の繋がりをデザインするべくして考案された意義を帯びてくる。
 幼いお子さまをご案内する場合も、一緒に「スポーツの本は『あそび』の棚にあるよ。漢字読めるかな?」などとと言いながら本を探すことができれば不都合はない。まずもって椎葉村図書館の想定蔵書容量は約3万冊であるから、私は分類記号のもつ役割として「単純な検索性」よりも「本棚の世界へ誘い込むこと」を重視した。なんとなく漢字の含意するところに惹かれて本棚に近寄ってみれば予想だにしない本の繋がりが展開されていて、一冊気になれば次の一冊が隣から呼びかけてくるというように来館者を深い知の世界へと潜らせる。そこに転がっているのはいくつもの偶然の出会いであり、このことをもって私はぶん文Bunのことを「セレンディピティ[55]を生む図書館」や「『探す』ではなく『迷い込む』図書館」と呼んでいる。
 「椎葉村図書館の想定蔵書容量は約3万冊であるから」と前置きをしたが、たしかにぶん文Bunの蔵書能力ゆえに「全館一体の独自分類」が可能となったという見方は正しいと言える。NDCのシステマティックで整然とした体系整理は大規模な図書館や大学図書館などで欠かすことができないだろうし、検索性の点では、数字という客観的で入れ替わりようのない(利用者の方が間違って戻したりすればたちまち混乱してしまうけれど)順番で資料が並んでいるという利便性がある。
 かといってぶん文Bunは検索性を放棄したのかというと実はその逆で、図&地協が考案した図書管理システムを用いることで非常に正確な資料配架位置を探すことができるようになっている。

・デザインされた「自由自在」(椎葉独自の分類と画期的なディスプレイ方法を活かすシステムの採用)

 先述したとおり、ぶん文Bunでは図書管理システムに「Change Magic」を採用し、資料装備用のバーコードには「LENコード」を採用している。図&地協はこれらを組み合わせることで、図書と棚を紐づけた「資料の位置関係の管理」を現実のものとしている。
 LENコードについては、まず資料に貼り付ける用途のものがひとつ。そしてもう一種類大事なのが、棚(ぶん文Bunの場合はエディット・キューブの「箱」)に貼り付ける用途のものである。この他にもLENコードは職員IDの管理や利用者IDの管理にと幅広く用いることができ、それぞれの付番帯域を区別することで完全にユニークなIDを資料、棚、人にもたせることができる。

 さてLENコードのIDをもたせた資料と棚が用意できれば、あとはChange Magicのシステム管理でこれらを紐づける作業[56]を行うのみである。上記掲載写真の場合は「連」分類の012番という箱のIDと、その箱に入っている資料ID「00012278」とをシステム上で紐づける。そうすると「連分類の012番に入っているID00012278の資料」と整理され、利用者は館内OPACやぶん文Bunオンライン資料検索[57]を活用し「求める本がどの棚のどの箱にあるか」までをピンポイントで把握することができる。
 私自身、従来のOPAC検索などで表示される「人文科学の棚にあります」というような結果には不満足だった。その棚のどちらの面の、どのあたりにあるのかというと、NDCの所在記号を目で追って一冊一冊探すほかない。
 念のためもう一度申し上げておくとNDCにはNDCの良さがあり、図書館の規模やその狙いによっては全面的にNDCの管理を敷き整然とした書架を構築することが妥当である。館全体が集密庫であるかのように資料満杯の書架で埋め尽くされた空間も、どちらかといえば私の好むところである。
 しかしながら椎葉の場合はどうかと私は考えたのである。収容能力は約3万冊で、村民は新しい図書館ができるとわくわくとした顔で完成の日を待ちわびている。本をただ借りて返すだけの書庫ではなく、そこで新たな出会いや思い出が紡がれるような物語の生まれる場所を築きたい・・・。そんなときにどうするべきか、と考えてみたのである。
 まだ椎葉村図書館の構築方針が定まらぬ頃、私は自身のSNSにおいて至極単純な気持ちで「NDCを知っていますか?」というアンケートをとってみたことがある。「はい」という答えを示したのは、図書館関係者か大学で図書館司書課程を修了したというような方々ばかりで、一般的な友人のなかにNDCという長年図書館界で重用されてきた歴史ある分類法を知る者は少なかった。彼らが図書館を使っていないかと言うとそうではなく、同じ大学を出た友人らは私と同様に、論文執筆などで非常によく図書館を利用していた。
 すなわち彼らにとって「NDCをNDCとして理解する」意義は皆無に等しく、それはあくまで所在記号としての数字にすぎなかったのだ。本がどこにあるかを探すうえで便利ではあるが、それ以上でも以下でもない。それが一般人にとってのNDCなのだ。
 このことを踏まえると、私はNDCを採用することに大きな疑問をおぼえた。自らの管理都合のため、管理システムが安価であるため、あるいは図書館としての慣習を変えたくないがために、これから椎葉の地で生まれるかもしれない数々のストーリーや感動を放棄してしまってもいいのだろうか。もしかするとNDCを一世紀近く用い続けてきた[58]のは、単に図書館側にとって心地よいからというのに過ぎないのではないだろうか。
 畢竟、椎葉村図書館にとっては図&地協と協業したChange MagicとLENコードの採用が最適解であった。それはNDCが悪いとか不適であるということではなく、私や村の検討委員会が「椎葉の図書館にどうあってほしいか」について熟考した結果なのだ。その根底にはまたもや「新しいって、懐かしい」というコンセプトワードが光っている。「今は真新しいものでもそれが正解であれば、いつかは懐かしく良きものとして歴史に認められるようになるだろう」。私はそんな選択をしたし、椎葉村もそのような道を掴んだ。それが正解であったという実感を現時点で確信できているし、これから当館が歩む歴史もそのことを証明してくれるだろう。

・なにせ村で初めての図書館(図書館としての建築機能の確保・補完)

 上述のコアな決定事項ばかりについて述べていると、まるでいろんなことがクリエイティブかつスムーズに進行したかのように映るかもしれないが、実際には数々の困難があった。とくに図書館としての建築機能については、元々「交流拠点施設内の小さな図書スペース」を想定していたこともあって様々な面で改善が必要であった。
 まず、建築図面で見る限りバックヤード作業スペースがなかった。図書館業界の方ならお分かりかと思うが、図書館業務には様々な裏方仕事がある。納品された図書の検品・受入にはじまり、資料修繕、数々の事務連絡対応、広報企画、イベント企画、装飾品製作、レファレンス業務、そして本記事のような執筆活動など・・・。当初の建築計画では、これらをすべて「司書カウンター」[59]で行うことになっていた。当然図&地協の太田氏はこの点をチェックしたが、消防法の絡みや閲覧スペース確保の問題などから新たな執務室を追加することは不可能であった。
 そして、ここで諦めないのが図&地協である。結果として完成したのは建築上の「室」ではなく、書架で執務スペースを囲い造成した「スケルトン・オープン・ワークスペース」であった。ちょうど「全集の【壁】」で仕切られたこのスペースは、中で作業していると常に三島由紀夫全集や川端康成全集などに見守られている状態となり、本好きが務める職場としては最高の環境である。
 そんな取ってつけたような理由だけでなく「開放状態でありながら閉鎖スペースである」という両面の要素をもつこの仕組みは図書館という機能にとって非常に有用であった。まず、仕切られた空間で文書作成や図書の取り扱いに集中することができ、かつ来館者の方々は立ち入ることができない空間になっているという利点がある。また閲覧スペースから聞こえてくる利用者の声を聴くことができるし、OPACの前で困っている様子の方がいればすぐに察知しお声がけすることができる。まさに「閉」と「開」の利点を存分に活かすことができるワークスペースなのである。

 ちなみにこのスケルトン・オープン・ワークスペースが閲覧スペースに接する一辺は「全集の【壁】」で構成されているが、もう一辺はというと「雑誌の【滝】」がその仕切りとなっている。
 実のところ、恥ずかしながら「雑誌を置く」という想定が当初頭から抜け落ちていて、雑誌用の書架について検討していなかったのだ。慌てて各メーカー様のカタログなどを眺めてみるものの、正直なところこれというものに出会わなかったし、雑誌用の書架は高額である。来館者の方々にご満足いただけるラインナップとして35誌は揃えたいと考えていたので、なかなか適した書架が見つからなかった。
 そこで私の発案は、スケルトン・オープン・ワークスペースの空いている辺の書架を使って雑誌をディスプレイしようというものだった。既に雑誌棚の分類表示を「滝」という漢字にすることは決まっていて、それは「滝のように流れる新しい情報の数々を収録した媒体としての雑誌」という意図を込めたものだった。私はそのコンセプトを視覚的にも表現するべく、強力マグネットを有するフックに強力クリップを吊り下げ、そのクリップで雑誌を挟み込んだ。まさに、書架から流れ落ちる情報瀑布が完成したのである。
 クリップの強度としては『新潮』などの分厚い文芸書もしっかり挟み込めるので問題ない。幼いお子さまなどの握力が心配されたが『かがくのとも』などを一生懸命に外して読みふける様子には微笑ましいところがある。稀に取り外せない方がいらっしゃる場合や元に戻せない場合は、職員がお手伝いするなどのフォローを行うことで現在のところは運用できている。椎葉村の図書館という、一対一のコミュニケーションが成立する環境だからこそ成立し、その良さが感じられる仕組みと言えるかもしれない。

 その他にも「閲覧室の椅子が少ない」とか「電源が少ない」とかいう問題が発生したが、それぞれ「人をだめにするクッション(Yogibo)[60]」を配置したり、書架を活用した空中架橋電源工事を施したりするなどその場その場の対処で乗り切ってきた。そのどれもが「場当たり的」でも「予定調和」でもなく「本当にわくわくする空間をつくっているか」という自らへの問いかけの連続だったように思う。工事面については図&地協の皆様の柔軟な対応力や、村内事業者のスピーディかつ人情味あふれる対応に助けられるところが大いにあった。納期を気にしつつのスリリングな状況が続いたが、最後の最後まで手を抜かない仕事をしてくださった関係者の皆様への深謝の念は絶えることがない。

・「文化政策」にとどまらない図書館(地域に利益をもたらす図書館イノベーションの創造)

 図&地協にぶん文Bunのコーディネートを依頼したことで数々の強み・利点が生まれたが、それは図書館内部の機能やデザインにとどまらない。椎葉村の場合は、図&地協に所属するトーハンやナカバヤシと連携した独自の図書購入・流通のシステムを構築することに成功し、それが図書館によるイノベーションとして地域の経済循環の一端を担っているのだ。
 椎葉独自の図書購入・流通システム発足の発端は「村内に書店がない」という事実にあった。図書館へ納入する図書の取次や納品を担務する書店機能無くして図書館を運営することはできないので、残された道は近隣市町村の書店様に納品を依頼するか、大手図書館業者様から一括購入するかに絞られてしまったかとも思われた。実際のところ大手図書館業者の方が営業にいらしていたし、近隣市町村の書店様にも協力の打診を行ったりもした。
 しかし私の視点は、先に述べたとおり「ふみの森もてぎ」の図書流通の仕組みを学ばせていただいたことで変化した。そこでは道の駅が書店機能を担っていたが、椎葉でも同じような取り組みが可能ではないかと思い至ったのだ。
 トーハンとも協議を重ねた結果、椎葉村内にあり書店機能を担うことができるプレーヤーとして筆頭に上がったのは椎葉村観光協会だった。取次店であるトーハンから書店機能をもつ観光協会へ、そして観光協会が椎葉村図書館へと納品する体制を築くことで、図書館が支払う図書購入費の一部が利益として観光協会に入ることになる。つまり、村の財源から出た支出がもう一度村内に利益として還元されることになる。
 「書店機能」と言っても、右から左へと書類上の図書を受け流すだけだと正当な取引とは言えないだろう。そこで椎葉村観光協会の場合は、トーハンからの図書受け取り、納品・検品、図書館への搬送といった一般的な流通業務とあわせて、フィルム貼りやLENコードの装備といった図書装備も担っていただいている。図書装備については開館直前期にナカバヤシの直接指導を受ける機会を設けられたおかげで、村内に複数人の図書装備担当者を生むことができた。
 実はこの図書装備について、立ち上げの不慣れな時期に作業が追いつくのだろうかという不安があった。しかしながら逆境を好機にかえたと言うべきか、観光協会が装備作業を担い始める2020年の夏[61]はCOVID-19が日本において第二波となる猛威を振るっていたころで、観光関連の業務が激減していたのだ。結果的に装備作業ルーティンの立ち上げが、COVID-19のせいで空白となった業務の穴を埋めることになった。
 つまりこの椎葉独自の観光協会を主軸とする図書流通の仕組みは、村内での貨幣流通を創出するだけでなく、COVID-19影響下における人的リソース不適合の改善という課題も解決したのである。まさに太田氏の「運営そのものが地域のヒト・コト・モノの交流や人材育成、さらには雇用創出などの地域経済を活性化し、循環させていく、いわばソーシャルイノベーションを生み出す場としての図書館」[62]がここに完成したと言えるのではないだろうか。

6. 薄明の一歩一歩

 こうして、図書館の夜明けがやってくる。本論で述べてきた椎葉村図書館「ぶん文Bun」構築秘話が、まさにそんな時代の魁となることを祈っている。
 とはいえもちろん、椎葉村という日本三大秘境とも言われる小さな村での出来事が全国津々浦々どこでも通用するわけがないのは当然である。むしろまさに、この「全国どこでも同じわけがない」という当たり前の事実への自覚こそが、私の図書館づくりの原点であり、図&地協の図書館づくりの根幹であると言えよう。その土地のルーツを掘り起こしているか、そのルーツの輝きを受け止められているか、その輝きを増すための方策をとることができているか・・・。こうしたことを問い続けてこそ初めて「地方創生」「地域おこし」「地域活性化」などの言葉を発する資格があるというものだろう。東京一極集中型ビジネスの延長で地方創生を考えるという思考の先に、夜明けが来ることはない。
 図&地協の皆様は、太田氏はもちろんのことトーハン、ナカバヤシの皆様も、そうした地方創生に重要なマインドをそれぞれに持ち合わせているように思う。この文章を読み同意することが多かったり、現在の図書館運営に疑問が多く構造的な悩みを抱えたりしているという場合、もしかするとこうした方々との対話が新たな解決策を生んでくれるのかもしれない。
 ぶん文Bunには、図書館としてまだまだ足りないところが多くあるだろう。規模も小さいし、蔵書数も少ない。私自身「クリエイティブ司書」を名乗りながら、まだ司書歴は1年足らずという存在にすぎない。
 しかしながら、私にはこの土地の魂のようなものに忠実でありたいという意識があり、自覚がある。図書館を「知の拠点」のような呼び方で呼ぶのであれば、その知が呼応すべき土地の歴史や魂を学ばずしてどうやって図書館づくりができるというのだろう。
 私は椎葉へ自らの意志で移り住み、パラレル・ワーカーとしてのキャリアを築きながら、神楽や消防団などの地域形成に係る取り組みと並行して図書館づくりを行っている。その際に何よりも重視しているのが「土地の魂のようなもの」に忠実であることだ。私はその一点において、ぶん文Bunの図書館づくりはどんな館にも勝っていると言い切れる。そしてその点こそが、昨今図書館界が沈んでしまっている深い夜から抜け出すための光明となりうるのではないだろうか。土地の魂に導かれる準備をすることこそが、夜を乗り越えるための灯なのだ。
 そんな灯を燃えあがらせる最初の火花となる図書館づくりの意志と方法論が本論をもとに広まればと願いながら、私は図書館界の曙に向けて一歩一歩と歩み続ける。2020年7月18日、ぶん文Bun開館当日の朝に見つめた朝焼けの記憶は無いけれど(残念ながらそんな余裕は無かった)、これからやってくるであろう図書館界の朝に広がる薄明の景色は、しかとこの目に焼きつけたいと願っている。

■脚注一覧

1 椎葉村図書館「ぶん文Bun」ホームページ(https://lib.katerie.jp/

2 椎葉村交流拠点施設Katerie(かてりえ)ホームページ(https://katerie.jp/

3 Katerieは交流拠点施設(2階建て)となっており、1階に交流ラウンジ・キッズスペース・ものづくりLab・クッキングLab・コインランドリーを備えている。2階には図書館(ぶん文Bun)をはじめとして、村内外の方が利用できるコワーキングスペース・大小会議室・シャワールームを備えている。各施設の詳細についてはKaterieのウェブページを御参照いただきたい(https://katerie.jp/space/)。

4 Katerie内のものづくりLab(https://katerie.jp/manufacturinglab/)には宮崎県下初の設置となるShop Botをはじめとして、3Dプリンタやレーザーカッターを完備。Fab Labを名乗るに十分の設備を整えている。ここで製作しているのはぶん文Bunのオリジナル返却ボックスで、高さ1,064mm×幅400mm×奥行400mmという大きさである。

5 ぶん文Bunは「図書館と地域をむすぶ協議会」によるコーディネートを受けている。同会コーディネートの図書館は幕別町図書館(北海道)、那智勝浦町立図書館(和歌山)、ふみの森もてぎ(栃木)、雲の上の図書館(高知)に続き椎葉村図書館「ぶん文Bun」で5館目となる。またLEN(Library Editing and Navigation)コードは株式会社シフトが提供しナカバヤシ株式会社が制作したもので、Change Magicはケープレックス・インクによる図書館システムである。詳しくは本論にて後述する。

6 ぶん文Bunの立ち上げ構想に際して、全国で30館程の図書館を見学させていただいた。

7 図書館と地域をむすぶ協議会、太田剛チーフディレクターの決め台詞。だからこそユーザーに評価され、人が次々と集まる場のプロデュースが可能となる。

8 宮崎県・椎葉村は非公式に「日本三大秘境」と称されている。山深い地理的環境や村内を通る「国道」が「酷道」とも呼ばれる道路状況、また重要無形民俗文化財に指定されている椎葉神楽、世界農業遺産に登録されている「焼畑」などといった独自の伝統・文化の存在がその呼称の要因である。神楽・焼畑については参考文献リストに記すウェブページなどを御参照いただきたい。

9 目下九州中央自動車道が延伸中で、2021年1月27日現在で椎葉村に最も近い高速のインター(熊本県側)は「山都中島西IC」となっている。

10 「令和元年度における地域おこし協力隊の活動状況等について」『総務省』https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei08_02000197.html (2021年1月27日時点)

11 よく「自称ですか?」と尋ねられるが「クリエイティブ司書」は椎葉村地域おこし協力隊のミッション名であって、椎葉村役場の地域おこし協力隊担当者が考案した名称である。

12 図書館司書資格については地域おこし協力隊の活動としても必要なものとして、協力隊の活動補助金を活用し2019年度中に近畿大学の通信教育課程を修了済みである。

13 たとえば椎葉村地域おこし協力隊の一次面接選考も、COVID-19以前からZoomを利用して実施されている。

14 椎葉村内には、観光協会のホームページをご覧いただいても分かる通り想像以上に多くの民宿がある。(「椎葉に宿泊」『椎葉村観光協会』https://www.shiibakanko.jp/stay(2021年1月27日時点))

15 全国でも平家と源氏の両家が仲良く暮らすことに相成った例は椎葉村だけではないだろうか。椎葉に伝わる伝説によると、壇ノ浦の戦いの後に椎葉の地まで落ちのびた平家の残党を討伐しにやってきた鎌倉幕府からの使者「那須大八郎宗久」が、村に住まう平家の姫「鶴富姫」に恋をしたことから両家の縁が始まったという。平家討伐の命を受けていたはずの大八郎は椎葉の地で慎ましく暮らす平家の者たちを見て、この平和な人々にもはや反乱の意志はないとして幕府への報告をせず、さらには村人が平家の残党と知れぬよう「椎葉」姓を名乗るよう勧めた。このため現在の椎葉村では、椎葉姓と那須姓の村民が非常に多い。平家落人伝説は椎葉に残る古文書『椎葉山由来記』に残されているが、史実として確証を得るには至らぬ「伝説」としての資料と受け止められているとのことである。しかしながら椎葉村に「椎葉厳島神社」が存在することは平家落人の真実味を大きく増すだろう。言うまでもなく椎葉厳島神社とは安芸において平清盛が崇敬した海神であり、それを山深い椎葉村に勧請する者となると平家落人以外に考えられないだろう。平家落人伝説や椎葉厳島神社、また『椎葉山由来記』などについては参考文献リストに記すウェブページを御参照いただきたい。

16 椎葉村の狩猟採集文化に関して、またその他の伝統芸能や祭祀・行事に関しては、椎葉民俗芸能博物館(https://www.shiibakanko.jp/tourism/spot/spot3)に詳しい展示・説明が施してある。

17 イノシシの子の俗称。胴体の柄や体系が縞瓜(しまうり)に似ていることから。ちなみにこの日以来ウリボウの頭骨が食卓にのぼるのを見たことは無い。

18 平成27年策定の椎葉村人口ビジョンを御参照いただきたい。 http://www.vill.shiiba.miyazaki.jp/promote/pdf/椎葉村人口ビジョン(全体%20).pdf (2021年1月28日時点)

19 「『テレワーク先駆者百選 総務大臣賞』等の公表」『総務省』 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu18_02000001_00006.html (2021年1月28日時点)

20 「日本三大秘境の椎葉村とキャスターが、リモートワーク推進に関する協定をクラウドサインで締結。椎葉村への移住希望者にキャスターが働き口を提供」『PR TIMES』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000097.000044347.html (2021年1月28日時点)

21 Katerieホームページ内のコワーキングスペース紹介箇所をご参照いただきたい(https://katerie.jp/coworkingspace/)。

22 クラウドサイン」ホームページ(https://www.cloudsign.jp/)。

23 「『雨読につぐ雨読』秘境暮らし司書ライター」(https://www.tsuyoshikomiyama-creativelibrarian.com/)が筆者のホームページである。

24 椎葉村内26地区それぞれのかたちで受け継がれる椎葉神楽では、神楽を舞う演目数の数え方も様々である。私が所属する上椎葉神楽では「一番(ひとばん)」「二番(ふたばん)」と呼ぶことが多く、その他の地区では「ひとつ」「ふたつ」や、「一手(ひとて)」「二手(ふたて)」(ただしこの場合三演目以上になると「三番(さんばん)」となるらしい)と、実に多様である。椎葉神楽に詳しい文献を代表するものは、渡辺伸夫『椎葉神楽発掘』(岩田書院、2012)。

25 当時はまだ「Katerie(かてりえ)」という名称は存在しなかった。同名称は椎葉村が2019年10月2日から11月15日にかけて実施した愛称公募(http://www.vill.shiiba.miyazaki.jp/promote/2019/12/post_137.php)に寄せられた573点の候補のうちから厳正なる審査の後に選定された。椎葉の方言である「かてーり」という助けあいの心が宿る、村内外から様々な人々が集まる「家(いえ)」という複合語として「かてりえ」の言葉が生まれたのである。詳しくはKaterieホームページのコンセプト説明を参照されたい(https://katerie.jp/katerie/)。なお「ぶん文Bun」についても応募された名称のなかから選出されたが、その経緯については後述致したい。

26 椎葉村地域おこし協力隊の村内向け周知活動は「協力隊だより」にて行っている。2019年度の月次発行を担当したのは私であり、同隊が運営するフェイスブックページにて閲覧可能となっている(https://www.facebook.com/media/set/?vanity=shiiba.kyouryokutai&set=a.2596483453928696)。

27 入澤誠「図書館が変わる、まちの未来が変わる」『地域人』42号(大正大学出版会、2019)、pp. 52-55.

28 入澤誠「図書館が変わる、まちの未来が変わる」、p.52.

29 入澤誠「図書館が変わる、まちの未来が変わる」、p.54.

30 五千年前から伝わる焼畑という循環農法による蕎麦や雑穀類の生育について、絵本の形態でわかりやすく解説している。『りんたろうといのちの種』は椎葉村役場へウェブからお申し込みいただければ絵本の現物を無料でお送りさせていただくので、ぜひ伝統的農法保存の一環としてお取り寄せいただければ幸いである(https://takachihogo-shiibayama-giahs.com/information/979)。

31 「ふみの森もてぎ」ホームページ(https://fuminomori.jp/

32 「ゆすはら雲の上の図書館」ホームページ(http://kumonoue-lib.jp/

33 『地域人』以外で参考になった図&地協関連の資料は以下の通り。ここには時系列として2019年7月以降に発刊されたものも含んでいる。
・大江正章「地域をつくる図書館」『世界』2019年4月号、No. 919(岩波書
店、2019)、pp.199-209.
・太田剛「図書館建設のハードとソフトを編集する」『みんなの図書館』2019年
1月号、No. 501(図書館問題研究会、2019)、pp.23-31.
・太田剛「図書館で地域が変わる、未来を拓く:ソーシャルイノベーションを起
こす図書館へ」『地域開発』2018年夏号、Vol.626(一般財団法人日本地域開発センター、2018)、pp.64-69.
・太田剛「図書館と地域をむすぶ『共同知』の編集:編集的な分類と本棚づくり
の現場から」『みんなの図書館』2019年9月号、No. 509(図書館問題研究会、2019)、pp.2-23.

34 混同される場合が多いが、物流業界などでも広く用いられている「カメレオンコード」を開発したのが株式会社シフトであり、そのカメレオンコードを図&地協仕様として図書館業務に最適化した「LEN(Library Editing and Navigation)コード」としたものを製造しているのがナカバヤシである。

35 いわゆるお土産購入やレストラン機能をもつ椎葉の道の駅。多少ではあるが椎葉に関連する書籍や、椎葉で撮影された映画『しゃぼん玉』DVDの販売なども行っている(https://www.shiibakanko.jp/tourism/eat/eat5)。

36 なお、ふみの森もてぎの場合はMCC(Motegi Categorization and Connection)という関館長考案の独自分類が用いられている。「and Connection」の文言から、分類だけでなく有機的な結びつきを企図していることが解る。

37 私は頑ななほどに「配架(排架)」という言葉を用いない。書架の見せ方とはほかならぬその管理者の意志の表明であって、ただただルールに従って並べる配架では全くもって成立しない魅力があると考えているからである。図書館の場合、書架の見せ方とはまさに「この土地がどうあってほしいか」という意志の表明なのである。私が本棚のディスプレイに関して思うところは、個人のブログ記事などに詳しい(小宮山ブログ記事「意志あるところ本あり。」 https://www.tsuyoshikomiyama-creativelibrarian.com/post/wherethereisawillthereisabook )。

38 椎葉村は宮崎県に位置しているが、最寄りの空港は熊本空港である。本村へお越しの際は熊本経由のルートもご検討いただきたい。

39 全国ふるさと甲子園ホームページ(https://furusato-koshien.jp/)。椎葉村は「椎葉の秘蜜」という希少な日本ミツバチの蜂蜜を出品し、2019年の同大会にてグルメ賞のお土産部門で優勝した。椎葉で養蜂が盛んなことは、Katerieのコンセプトならびにぶん文Bunのネーミングにも大きく影響している。ふるさと甲子園の様子については、私のブログに詳しい(https://www.tsuyoshikomiyama-creativelibrarian.com/post/mitsubachikoshien)。

40 Katerieコンセプトメッセージ紹介ウェブページはこちら(https://katerie.jp/katerie/)。なお「Katerie」という名称は、コンセプトメッセージ考案時には決定していなかった。

41 日本ミツバチの巣箱は「待ち箱」などと呼ばれる場合が多いようだが、椎葉では「ブンコ」と呼称される。これは宮崎県の日向地区などでも共通する呼び名のようで、他にも同様の呼び名を用いる地区があるのかもしれない。椎葉や近隣の養蜂について定評がある参考文献は、飯田辰彦『輝けるミクロの「野生」:日向のニホンミツバチ養蜂録』増補版(鉱脈社、2013)など。

42 西洋ミツバチと異なり日本ミツバチは種々多様な花々の蜜を収集する。このこともまた、多種多様な読書に親しむ子ども達というイメージを喚起する。

43 椎葉には高校がないため(2021年2月時点で小学校5校、中学校1校)、ほぼ確実に一度は村外での暮らしを経験することになる。それゆえに「Uターン創出」は椎葉村が常に向き合わなければならない課題である。

44 ONLY ONE Shiibaブランディングページ(https://shiiba.jpn.org/)。こちらから椎葉村に関するブランドブックや季刊誌などを無料(重量により送料負担有り)で取り寄せることができる。無料の媒体としてはかなりの高品質で、宮崎県内のデザイナーや椎葉村地域おこし協力隊が制作にあたっている。

45 ぶん文Bunのような図&地協プロデュースの図書館は全国で5例目であるし、ものづくりLabに導入された「Shop Bot」は宮崎県下初、九州では3例目の導入であった(2020年7月の開館時点)。そうした意味ではまさに最先端の技術が採用された施設と言える。

46 もちろん森山大道の「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい」が脳裏をよぎった。Cf.森山大道『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』(青弓社、2000)

47 「コハチロー」という名前は日本ミツバチの「ハチ」と、先述の平家落人伝説にその名を残す「那須大八郎」から考案した。いつかは那須大八郎みたいな立派な武士になりたいと夢見るオスの日本ミツバチであるコハチローは、いつも自らの巣であるぶん文Bunに籠り読書に励んでいる。オスのミツバチは終生ほとんど巣箱の中で過ごす習性があるため、コハチローもその例にもれず引き籠っている。

48 コハチローTwitterアカウント(https://twitter.com/ShiibaVillLib

49 「雲の上の図書館」(高知県)や「ふみの森もてぎ」(栃木県)のこと。

50 当時の想像に反し、図&地協プロデュースを受けたぶん文Bunでは「自由に編集できる棚」の全面導入が可能となった。

51 ぶん文Bunのオリジナル書架に設けられた金属製の黒板塗装ボード。チョーク・アートを施しお手製の図書案内を制作でき、配置箇所も自由に変更することができる。

52 椎葉村中心地にある商店街で催される季節ごとのイベントなどで「飲み歩き」が可能になることがあるが、年に数回の「ハレ」の日というくらいの頻度である。

53 より詳しい思い入れについては、既出だが小宮山ブログ記事「意志あるところ本あり。」(https://www.tsuyoshikomiyama-creativelibrarian.com/post/wherethereisawillthereisabook)を御参照いただきたい。当然「意志あるところ道あり」(Where there is a will, there is a way.)という金言に基づいたフレーズであり、私の母校である東福岡高等学校ではこれを校訓としていた。

54 たとえばぶん文Bunの場合「移住」と「青年海外協力隊」のテーマは近接してディスプレイされている。これは双方「移動」という共通のメタ要素を持ち合わせているからである。ほかにも「日本ミツバチ」のテーマに近接して『ハチミツとクローバー』をディスプレイするなど、言語として近しい要素をもつ図書を近づけるのも面白い。

55 広辞苑(岩波書店)第7版によると「(お伽話『セレンディプ(セイロン)の三王子』の主人公が持っていたところから)思わぬものを偶然に発見する能力。幸運を招きよせる力」のこと。

56 紐づけ作業だけでなく、すべてのLENコード認識を伴う作業(貸出返却、書誌情報読み込み、蔵書点検など)にはパソコンなどのデジタル機器とWEBカメラを用いる。ぶん文Bunの場合書架を巡りながら行うディスプレイ作業ではタブレットとWEBカメラを用いているので、操作性が良いし機器の価格もそれほど高価ではない。またバーコードでありながらICタグのように一度で複数(WEBカメラの画角に収まる限り)のLENコードを認識できるし、シール印刷なのでコード自体の製造費用も比較的安価である。

57 椎葉村図書館「ぶん文Bun」オンライン資料検索(https://lib.katerie.jp/OPAC/SearchSimple

58 ご存知のとおり、森清が「和洋図書共用十進分類法案」を『圕研究』に発表したのが1928年のことである。

59 この司書カウンターについても「幅が狭すぎ、高すぎ」などサイズ面の問題や構造上の修繕点が多々みられた。これは家具なので図&地協の教示を仰ぎながら事前の修正を加え、図書館で活用するカウンターとして計画変更することができた。

60 Yogibo(ヨギボー)公式ウェブページ(https://yogibo.jp/

61 椎葉村観光協会を主軸とした図書流通機能を本格的に始動したのはぶん文Bun開館の2020年7月以降。それまではトーハン、ナカバヤシの協力を得て図書流通、図書装備を実施していた。ナカバヤシの方々には椎葉村という遠隔地・僻地(しかも傾斜地が多く活用可能な土地が少ないため図書を一時保管する倉庫もない)まで図書を届けるにあたって、様々なイレギュラー対応をしていただいたり、各種リソースを割いていただいたりした。また図書購入・流通方式の立ち上げにあたっては、トーハンの方々の企画構想力や地域に利益のある書店機能をつくるための思いの強さが大きな助けとなってくれた。

62 入澤誠「図書館が変わる、まちの未来が変わる」、p.52.

●参考文献リスト

<書籍・雑誌>
・飯田辰彦『輝けるミクロの「野生」:日向のニホンミツバチ養蜂録』増補版(鉱脈社、2013)

・森山大道『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』(青弓社、2000)

・渡辺伸夫『椎葉神楽発掘』(岩田書院、2012)

・大江正章「地域をつくる図書館」『世界』2019年4月号、No. 919(岩波書店、2019)、pp.199-209.

・入澤誠「図書館が変わる、まちの未来が変わる」『地域人』42号(大正大学出版会、2019)、pp. 52-55.

・太田剛「図書館建設のハードとソフトを編集する」『みんなの図書館』2019年1月号、No. 501(図書館問題研究会、2019)、pp.23-31.

・太田剛「図書館で地域が変わる、未来を拓く:ソーシャルイノベーションを起こす図書館へ」『地域開発』2018年夏号、Vol.626(一般財団法人日本地域開発センター、2018)、pp.64-69.

・太田剛「図書館と地域をむすぶ『共同知』の編集:編集的な分類と本棚づくりの現場から」『みんなの図書館』2019年9月号、No. 509(図書館問題研究会、2019)、pp.2-23.

<ウェブ媒体>
・「意志あるところ本あり。」『「雨読につぐ雨読」秘境暮らし司書ライター』https://www.tsuyoshikomiyama-creativelibrarian.com/post/wherethereisawillthereisabook(2021年2月26日)

・「椎葉厳島神社」『椎葉村観光協会』https://www.shiibakanko.jp/tourism/spot/spot2(2021年2月24日現在)

・「椎葉神楽」『宮崎県椎葉村』https://www.vill.shiiba.miyazaki.jp/education/culture/kagura.php(2021年1月27日時点)

・「椎葉村交流拠点施設愛称の決定について」『椎葉村』http://www.vill.shiiba.m・「椎葉村:日本で唯一継続して行われている焼畑」『世界農業遺産 高千穂郷・椎葉山地域』https://takachihogo-shiibayama-giahs.com/article(2021年1月27日時点)

・「椎葉村の絵本『りんたろうといのちの種』無料提供のお知らせ」『世界農業遺産 高千穂郷・椎葉山地域』https://takachihogo-shiibayama-giahs.com/information/979(2021年2月24日時点)

・「椎葉に宿泊」『椎葉村観光協会』https://www.shiibakanko.jp/stay(2021年1月27日時点)・「椎葉村の絵本『りんたろうといのちの種』無料提供のお知らせ」『世界農業遺
・「『テレワーク先駆者百選 総務大臣賞』等の公表」『総務省』https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu18_02000001_00006.html(2021年1月28日時点)

・「日本三大秘境の椎葉村とキャスターが、リモートワーク推進に関する協定をクラウドサインで締結。椎葉村への移住希望者にキャスターが働き口を提供」『PR TIMES』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000097.000044347.html (2021年1月28日時点)

・「平家落人伝説」『椎葉村』https://www.vill.shiiba.miyazaki.jp/education/culture/heike.php(2021年2月24日時点)

・「まち・ひと・しごと創生椎葉村人口ビジョン」『椎葉村』http://www.vill.shiiba.miyazaki.jp/promote/pdf/椎葉村人口ビジョン(全体%20).pdf (2021年1月28日時点)

・「令和元年度における地域おこし協力隊の活動状況等について」『総務省』https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei08_02000197.html (2021年1月27日時点)

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