国家やエスニックグループの境界を溶かし、「共感の共同体」を作り上げる大衆文化は、ときにナショナリズムと共犯関係を結ぶ。強い求心力の裏に複雑な様相を覗かせる大衆文化に、日韓の論者がそれぞれの切り口で挑む。

内容:「日本大衆文化とナショナリズム」学際的研究の必要性 朴順愛著. 茶の湯文化の政治性 谷川建司著. 宮城道雄の庶民的ナショナリズム 申昌浩著. 半井桃水『胡砂吹く風』と「朝鮮」 全美星著. 東京オリンピックプレ・イベントとしての赤と白の色彩 竹内幸絵著. 「文化圏」としての『ガールズ&パンツァー』 須藤遙子著. 「韓流ブーム」から「嫌韓ムード」へ 市川孝一著. 一九五〇年代におけるソビエト文化受容 吉田則昭著. 「在日」文化とナショナリズム 尹健次著. 日本のスポーツナショナリズム 朴順愛著. 戦後日本の人気スポーツとナショナリズム 寺沢正晴著