「ぶん文Bunレビューキャンペーン」に新しいご投稿をいただきました!
ミルフィーユさん、せっかく連投でご投稿いただきましたのに更新が遅れまして畏れ入ります。。。
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今回お手に取っていただいたのは桜木紫乃さんの『ラブレス』。「好書好日」では谷原章介さんもおすすめされていましたね。
『ラブレス』(桜木紫乃)
最も焦点を当てて書かれるのが百合江という女性だ。その百合江が姪の小夜子に「わたしはね、小夜子ちゃんの人生は小夜子ちゃんのものだと思うの。子どもは産みたいときに産んだらいいのよ。女は選べるんだもの。産んでやり直す人生と、産まずにやり直す人生と。どちらも自分で選べば、誰を恨むこともないじゃないの。」と言った。
百合江の人生は、家族に、男に、子どもに、世間に、翻弄される人生だった。そんな百合江が話す言葉だから、説得力がものすごい。そんな百合江に育てられた娘は「うちのお母さんって、ほんっとにおもしろいひとだよねぇ」と酔いながら何度も繰り返す。娘からの褒め言葉でこれ以上のものは無いだろうと思う。
もしわたしが百合江と同じ境遇だったら…と考えながら読み進めたが、きっとわたしには自分の身に降りかかる災難を全て受け入れることはできない。百合江は何事にも満足して人生を終えたはずだ。わたしもこんな風に一生を終えられるように生きていかなければ、と強く思った。
ミルフィーユさん、ありがとうございます。
桜木紫乃さんもまた、共感できる女性像を多く生み出してくれる作家さんですよね。一般的には『ホテルローヤル』(桜木紫乃さんの直木賞受賞作)のイメージが強いかもしれませんが『ラブレス』もまた北海道の地で生きる女性の姿を描いた作品です。
ちなみに『ホテルローヤル』は昨年、武正晴監督(『百円の恋』なんかで有名)の手で映画化されました。映像も気になる作品ですね。
作品の題名『ラブレス』は‘Loveless’という綴りで「愛(情)のない、愛されない、かわいげのない」などという意味。作品中ではどのような「愛のなさ」が描かれるのでしょうか・・・。ぜひ、作品を手に取ってみてください!
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(クリエイティブ司書・小宮山剛)