「椎葉村図書館ぶん文Bun」は全国的に見ても、とてもユニークな図書館です。それは椎葉村交流拠点施設Katerieの2階に上がった瞬間に、すぐに気がつくでしょう。「こんな図書館見た事ない!」という声が聞こえてきます。「図書館と地域をむすぶ協議会」(チーフディレクター/太田剛)とのコラボレーションで実現した、画期的な新しい図書館づくり。いったい何が違うのか。その概要を写真とともにご案内いたします。キーワードは“自由な発想”と“自在な編集”です。

 

【郷土資料から始まる図書館】

椎葉村交流拠点施設Katerieの2階の「椎葉村図書館ぶん文Bun」に上がり、最初に皆さんを迎えるのは「椎葉の風〜風土・風習・風景」という本棚です。普通の図書館では、片隅に追いやられる事が多い郷土資料を、ここでは正面に持ってきました。この「椎葉の風」をスタートとして、「椎葉村図書館ぶん文Bun」の本棚は全体がつながるように編集されています。まずはここで、椎葉村の風を感じて、本と本が次々とつながる、多彩な知との出会いをお楽しみ下さい。

【図書館カウンター】

椎葉村交流拠点施設Katerieの2階に上がり、「椎葉の風」を見ながら正面にあるのが図書館カウンターです。本の貸出・返却のほか、利用者登録とカードの発行など、図書館に必要な手続きを行う、「椎葉村図書館ぶん文Bun」の全てのサービスの窓口となります。その大きな機能の1つが、「レファレンス」といわれる皆さまの様々な相談に応えるサービスです。「この本はどこに?」「この作家の本はあるか?」から、知りたいこと、困ってることなど、漠然とした相談にもお応えします。カウンターは2段になっていて、高い方は貸出や返却などの対応をテキパキ、低い方は「レファレンス」はじめじっくりお話をする席です。

【自由で自在な本棚編集】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」の本棚は、普通にある面だけで構成される本棚とは違い、自由自在な形で組み立てられています。本棚を潜ったり、本棚に座ったり、本棚に隠れたり、まさに本棚の中に入っていける、立体的な本のテーマパークのようになっています。これは「本との出会いを楽しんでほしい」という、「椎葉村図書館ぶん文Bun」のコンセプトをそのままの形で実現した本棚になります。ぜひ、立体的な知のつながりの世界に足を踏み入れ、自由なスタイルで楽しんで下さい。

【エディット・キューブと椎葉村の杉板】

自由自在な本棚空間の構成を可能にしたのは、「エディット・キューブ」というユニット型の本棚の導入によります。長年の研究開発で導き出された、編集性に富んだ同じサイズのユニットの組合せで、レゴブロックのように、任意の立体本棚空間を創造することができます。この「エディット・キューブ」を骨格として、棚板や天板には全て椎葉村の杉材を活用しています。「椎葉村図書館ぶん文Bun」に上がってきた方は「木のいい香りがする」とすぐに気がつきます。

【独自の分類による自由な本棚編集】

全国のほとんどの図書館は日本十進分類法(=NDC)と呼ばれる分類で本が並んでいます。「椎葉村図書館ぶん文Bun」は、その分類を採用せず、独自の並べ方で本棚を構成しています。その分類は「椎葉の風」に始まり、「日本人の心」「時代の波」「未来の夢」「現代の剣」「科学の眼」「人類の歩」「芸術の彩」など、23のコーナーに別れています。また、この「心」「波」「夢」などの漢字1文字が棚番号になっています。普通の図書館は01、02、03やA、B、Cなどの機械的な棚番号ですが、あえてその棚のイメージを象徴する漢字1文字を棚番号にしています。これは、「椎葉村図書館ぶん文Bun」が“本を探す図書館”ではなく、“本と出合う図書館”を目指しているからです。では、日本十進分類法では本が探せない?いえいえ、それで本が探したい人は、カウンターにある蔵書検索システムで探せば、どのコーナーの、どの棚の、どの段の、どの並びにあるのか確認することができます。

【ナビゲーション・ボード】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」の本棚には、全体で約70枚のナビゲーションボードが用意されています。「エディット・キューブ」は鉄で出来ていて、黒板塗装になってるので、チョークで絵や文字を書いたり、磁石で様々な案内を貼り付けることができます。それを活用して、それぞれのコーナーの案内や、本棚と本棚のつながり、特集棚や企画棚の説明等、本との出合いを演出するのがナビゲーションボードです。あるときはキャッチコピーのように、ときには吹き出しで蘊蓄を語り、またあるときは高速道路の標識のように、皆さんを知のテーマパークへと誘います。

【九州初のLENコードの全面採用】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」の自由な本の並びによる徹底した本棚編集を可能にしたのが、全国の図書館では5例目、九州では初となるLENコードの導入によるものです。LENコードとは、カメレオンコードという物流業界やセキュリティ関係で使われているカラー認識コードを図書館用に特別に設定した、最先端の蔵書管理ツールです。普通の図書館は、裏表紙や表紙に貼るバーコードや、ICタグによる大袈裟で高価な装置によって蔵書の管理をしていますが、本と本棚の関係は管理していません。背表紙に貼れる小さなサイズのLENコードは、普通のパソコンにつないだWebカメラで認識可能で、10冊程度なら同時認識します。また、本棚の30〜40冊の本の背表紙のLENコードをカメラでなめれば、蔵書点検を簡単にすることができます。LENコードのパフォーマンスを最大限に引き出すチェンジマジックという蔵書管理システムを併用することで、本と本棚の関係を管理することが可能になり、特集棚や企画棚の編集などが自由自在にできるようになります。

【新聞コーナー/雑誌コーナー】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」では、新聞5紙、雑誌(月刊誌)35誌がいつでもご覧いただけます。多様な閲覧コーナーで、ゆっくりとお楽しみください。

【新入荷本・オススメ本・CD/DVDコーナー】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」の手前にある3本の柱は、新入荷本、オススメ本、CD/DVDコーナーの棚となっています。新入荷本は、新しく図書館に入荷した本を紹介する本棚です。しばらく通って「椎葉村図書館ぶん文Bun」の本棚に慣れてきたら、まずこの棚から見ると新鮮かも。オススメ本は、ぶん文Bunが自信をもって薦める本を案内する本棚です。何を読もうか迷ったら、ぜひここからご覧下さいませ。CD/DVDコーナーには、日本の音楽シーンを牽引してきた編曲者でキーボード奏者の井上鑑さんの寄贈による、J-POP、K-POPやクラシックの名盤が500枚並んでいます。

【よりどりみどりの閲覧コーナー】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」にはいろいろな閲覧コーナーが用意されています。椎葉村交流拠点施設Katerie全体が靴を脱いで裸足で利用する施設になっているため、個別ブースで集中するもよし、クッションで寝そべるのもよし、思い思いのスタイルで読書をお楽しみください。いや、「椎葉村図書館ぶん文Bun」はおしゃべりや飲食も可能です。読書だけでなく、勉強や調べ物、友との語らい、空想や瞑想に浸るなど、自由にお過ごし下さい。

【児童書コーナー/絵本コーナー】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」は、普通の図書館とは違い、児童書や絵本、漫画と一般書を区別しないで、23のコーナー別に一緒に並べられています。これは、子どもと大人、親子が一緒に、同じ本棚の前で本を選んだり、本棚を眺めながら会話をしてほしいと思うからです。ただ、それでは分けきれない児童書や絵本があります。それを集めているのが、顔の形の児童書コーナー。目のところから小部屋に入って、親子で読み聞かせをするのもよし、お友だちと入ってナイショ話をするもよし。ぜひ、いろいろな楽しい使い方を考えて下さい。絵本のコーナーは1階のキッズスペースにもあります。本棚に囲まれた空間で読み聞かせの会などができる部屋になっています。

【スケルトンオープンワークスペース】

図書館には、一般の利用者の皆さんには見えないたくさんの仕事があります。毎日、新しく出版された本に目を配り、各種の書評や文学賞の動向を調べ、本を選び発注し、入荷した本を確認してデータ化します。全国の図書館からの相互貸借の対応や、本以外の資料の収集(郷土資料やデジタルデータなど)、さらにレファレンスのための調査もあります。返却が遅れてる方への督促や、破損した本の修理、図書館Webの更新やSNS等への情報発信などなど。図書館のスタッフはカウンターに座っているだけでなく、そのような多種多様な作業をする場所が必要になります。「椎葉村図書館ぶん文Bun」では、「全集の壁」と「雑誌の滝」の本棚に囲まれた所に、そのワークスペースがあります。壁に仕切られていない空間は、常に利用者の皆さんと同じ音、同じ空気を感じながら仕事がしたいという思いから、スケルトンのオープンスペースになりました。全集や雑誌の向こうに作業中の姿が見えますので、お気軽にお声をおかけ下さい。

【新しい地域経済循環モデル】

これは目には見えない「椎葉村図書館ぶん文Bun」の図書館づくりの特徴のひとつ。地元に本屋さんがない椎葉村では、椎葉村観光協会とのコラボレーションで、本の調達の仕組みをつくりました。現在、全国的に廃業する書店が相次ぎ、東京の図書館専門業者から本を買っている図書館も少なくありません。「椎葉村図書館ぶん文Bun」は観光協会を書店と見立てることで、小さな地域経済の循環モデルを創出することができました。写真は、オープン前に観光協会のメンバーと装備(本のフィルムコートなど)の研修を行ってる様子です。こうした図書館をめぐる地域密着型の取組みは、これから持続可能な地域づくりのモデルとして注目されています。

【椎葉村交流拠点施設Katerie】

「椎葉村図書館ぶん文Bun」は椎葉村交流拠点施設Katerieの2階にあります。Katerieは様々な機能をもったスペースからなる複合施設です。交流スペースには自由に使える椅子やテーブルがあり、研修会や展示会にも利用可能です。ボルダリングやスラックライン、卓球なども楽しめます。カフェコーナーではボードゲームに興ずることができます。読み聞かせの小部屋や絵本棚、遊具が配置されたキッズスペースには授乳室もあります。ものづくりLabには3DプリンターやUVプリンター、レーザーカッターからデジタルジグソーなど、最先端の道具が揃い、クッキングLabでは個人から団体まで様々な料理に挑戦できます。映画鑑賞会も可能なAV機器が揃った大会議室、少人数の会議に最適な小会議室の他に、月単位で利用可能なコワーキングスペースやテレワーク専用ブース、さらにシャワーやランドリー施設も充実しています。椎葉村交流拠点施設Katerieの多様な機能と一緒に「椎葉村図書館ぶん文Bun」を利用することで、遊びや学び、レジャーからビジネスまで、村内外問わず、全国からのあらゆる利用者に充実した時間を提供できる場所です。豊かな自然と深い歴史と濃密な文化に彩られた環境で、Katerieの施設を活用し、ゼミ合宿や研修旅行、ワーケーションをすれば、「椎葉村図書館ぶん文Bun」の本棚に触発されて、新しいアイデアやインスピレーションが、どしどし湧いて来るのではないでしょうか?

椎葉村交流拠点施設Katerieの詳細はこちらをご覧下さい→椎葉村交流拠点施設Katerie公式サイト

2021年 (令和3年)
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