椎葉村では椎葉村教育委員会が主体となり、令和3年度から令和7年度にかけて推進している「椎葉村子ども読書活動推進計画」を策定しました。

この度椎葉村図書館「ぶん文Bun」のウェブページにも転載し公開いたしますので、ご覧いただけますと幸いです。

 

 

椎葉村子ども読書活動推進計画

 

 

Ⅰ 計画策定にあたって

 1 経緯と目的

今日、子どもを取り巻く生活環境は、急速に発達する情報化社会によって大きく変化し、インターネットやSNSなどが情報収集源となり、活字離れも進んでいます。また、乳幼児期からの読書習慣の未形成による読書離れも指摘されています。

このような中、国は、平成13年12月に子どもの読書活動に関する基本理念を定めた「子どもの読書活動の推進に関する法律」を公布・施行し、平成14年8月にこの法律に基づいた「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を策定することで施策の方向性を示しました。そして平成20年3月には、それまでの成果や課題、諸情勢の変化等の検証を踏まえ、新たな「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(第二次)を策定しました。

また、宮崎県も平成16年3月に「宮崎県子ども読書推進計画」を、平成23年3月には「第二次宮崎県子ども読書活動推進計画」を策定し、「家庭・地域・学校等における子どもの読書活動の推進」「子どもの読書活動に関する広報・啓発」を計画推進の柱としました。さらに平成30年8月に「宮崎県生涯読書活動推進計画」を策定し、子どもから大人まで全ての県民が生涯にわたって読書に親しむことを目指して読書環境の整備や読書振興に向けた施策を進めています。

椎葉村においても、子どもの読書活動を計画的に推進するため、交流施設Katerie(かてりえ)内に開館した村立図書館「ぶん文Bun」を拠点とした読書環境整備、地域・家庭・学校がそれぞれ連携した読書推進のための仕組みづくりを盛り込んだ「椎葉村子ども読書活動推進計画」を策定することとしました。

 

 2 計画の期間

本計画は、令和3年度から5年間の計画とし、必要に応じて見直しを行います。

 

 

Ⅱ 計画の基本的な考え方

読書は、「考える力」「感じる力」「表現する力」を育てるとともに、豊かな情操をはぐくみ、すべての活動の基盤となる「価値・教養・感性」を涵養していくうえでも極めて重要です。

子どもにとっての読書は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、人生をよりよく生きる力を身に付けていく上で欠かせないものであり、家庭や地域、学校等が一体となって読書習慣を身に付けた子どもを育成していくことが大切です。

また、テレビやインターネットの急速な発達により、情報があふれる中で、子どもたちは必要な情報を取捨選択して収集する力も必要となります。

このことから、本を読む習慣や本を通じて物事を調べる習慣を、乳幼児期から確立していくことが重要となります。

この計画の主体は子どもたちですが、同時に大人の読書活動の推進も見据えています。大人たちの洗練された読書習慣が村内に根付き、子どもたちが自然と大人たちの読書スタイルを真似るようになることで、何世紀も受け継がれる「読書文化」が椎葉村にて醸成されることを大きなねらいとします。

 

 1 計画の対象

本計画の対象は、15歳までとします。

 

 2 基本方針

(1)家庭・地域における読書活動の推進と読書に親しむ場の提供

(2)保育所・学校における読書活動の推進

(3)村立図書館における読書活動の推進と読書に親しむ場の提供

 

 

Ⅲ 具体的方策

 

 1 読書活動の推進

(1)家庭・地域における読書活動の推進と読書に親しむ場の提供

 

   ① 現状と課題

村立図書館の開館に伴い、本に触れる機会は多くなりました。子どもだけでなく大人も活用し、読書に親しんでいます。しかし、椎葉村の地区は広域にわたるため、地域によっては利用に差があります。村立図書館の情報を発信し、広く村民に周知し、活用してもらえるようにする必要があります。

 

   ② 方策

広く村民に村立図書館に来ていただけるように、『広報しいば』において、新着図書の情報や、子どもだけでなく大人も行きたくなる情報を発信し、読書に親しみやすい土壌づくりに努めます。また、村立図書館と連携し、ホームページやSNSを活用して、各家庭の読書に関する興味を引き出すための情報を発信していきます。

さらに、集落支援員による、各地区への読書支援の援助を行ったり、家庭教育学級の研修会の中で図書に関する研修会を開催したりすることで、家庭・地域で読書に親しむ場を提供していきます。

 

(2)保育所・学校における読書活動の推進

   ① 現状と課題

村内の小中学校において、朝の時間や教科の時間に読書に親しむ時間を設けながら、年間の読書冊数の目標設定や、読書貯金通帳の記録など、読書啓発に努めています。

また、やまびこ文庫も積極的に活用し、様々な本に触れる機会も確保しています。そのため、児童生徒は読書に進んで関わっています。しかし、読書に親しむことに個人差があることや、読み聞かせに触れる機会が少ないことが課題となっています。

 

   ② 方策

学校図書室の新書購入のための予算を確保し、児童生徒にとって興味のある本を定期的に購入することで、本に興味をもち、読書に親しめるようにします。

また、県立図書館とも連携を図り、やまびこ文庫を積極的に活用することで、興味のある本やおすすめの本などを取りそろえ、本に興味をもつ環境を整えます。

さらに、村内各地区の広域な範囲に存する学校・保育所の児童生徒に偏りなく図書への親しみが浸透するよう、村立図書館と連携した取り組みを展開します。

保育所の場合は、遠足等を企画し村立図書館を訪れることで児童が図書のある空間を楽しむことができる土壌を育み、児童だけでなく保育所職員も含めた人々が図書空間で共にふれあえる機会の創出を図ります。

学校の場合も同様に児童生徒の図書館への来館を促進し、広報誌(『広報しいば』)やSNS・図書館ホームページ、オンライン会議での全校一斉周知等を活用した親世代・教職員も包括的にターゲットとする情報発信を行うことで、村内全域にわたって一体感のある図書への親しみを生み出します。

 

 

(3)村立図書館における読書活動の推進と読書に親しむ場の提供

 

   ① 現状と課題

村立図書館「ぶん文Bun」は、九州初となる蔵書管理手法を用いて、他に類を見ない立体的な箱型本棚をふんだんに利用しています。各本棚のテーマ分けは椎葉村が独自に考えたもので、この場所ならではの世界観や椎葉のくらし方に沿った知識の繋がりが生まれるような図書の展示をおこなっています。また、本を「読む」だけでなく、「眺める」、「繋げる」、「遊ぶ」と様々な使い方も提案しています。

新しくできた施設であるため、今後さらに利用者を増やし、活用を促進していくための手立てを講じることが必要となっています。

 

   ② 方策

村立図書館の完成という好機を活かし、子どもたちに「読む」だけではない本の楽しみ方があることを感じてもらうための仕組みづくりを進め、本のある環境そのものが身近で尊いものだと浸透するような施策を講じていきます。

大人も子どもも広く参加することができる「ぶん文Bunレビューキャンペーン」をはじめとする読書感想シェアリングの取り組みでは、読書について「語る」喜びに浸ってもらうことで、読書の量だけでなく質にもこだわった方策をとります。また、子どもだけでなく大人も巻き込んだ読書推進活動を行うことで、子どもたちが良き模範とすべき大人像に触れられる機会の創出にも取り組みます。

また、定期的な新書購入・入替や特集棚の設置を行い、蔵書の新陳代謝を図ることで、日々新しい本との出会いがある環境として整備していきます。そうした出会いをさらに濃密なものにし、本に触れることそのものが「洗練されている」と感じられるような文化を育む環境を整備できるよう、大人向け・子ども向けを問わず様々なイベントを開催していきます。イベントについては、地域住民や様々な立場にある機関がオンライン・オフラインを問わず連携できるようなものを企画推進していきます。

 

 

 

Ⅳ 計画の推進

椎葉村における子どもの読書活動に対し、家庭・地域・学校等が連携・協力して推進されるよう計画的に取り組みます。

村立図書館と学校等が積極的に情報交換をし、学校等と図書資料の貸し出しや、オンラインでのつながりの創出など、子どもが図書館を有効に活用できる体制づくりを行います。

また、関係機関・団体で構成する「椎葉村図書館運営委員会」の中で、具体的な推進策や連携の在り方について協議を行います。

 

2024年 (令和6年)
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