ぶん文Bunレビューキャンペーン」に新しいご投稿をいただきました!


今回のご投稿も、ぶん文Bunネーム「ミルフィーユ」さんから。今回も映画化された人気作家さんの一作を読み解いてくれました。

 

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今回のレビューは、クリエイティブ司書も大好きな作家さんである辻村深月さんの『朝が来る』について。人口減少が続き働くことと生きることを両立するのがむずかしいとされる社会で生きる私たちにとって、多くのものごとを受け取るべきテーマが詰まった一作です。

『朝が来る』(辻村深月)

 

裏表紙のあらすじからは想像していなかった物語が展開され、気づけば1日で読み終えた。

 

最も印象に残った言葉は「血のつながりのない子どもって言っても、もともと、オレと君だって血がつながってないけれど家族になれたじゃないか」という言葉だ。

 

ある女性が特別養子縁組を考えるきっかけになったのは、夫にこの言葉を掛けられたからなのだと話す場面がある。どうして、日本は欧米のように養子を受け入れられないのだろう、「血」や「家」という考えが根強いのだろうと考えていたわたしにとって、この言葉は胸にストンと落ちた。

 

そうだ、他人同士が家族になるのは、子どもであってもおかしくない。

 

この考えに賛同する人が増え、養子縁組で子どもを持つという動きまで広まれば…と感じた。(とはいっても特別養子縁組は、子どもが欲しい親が子どもを探すためのものではなく、子どもが親を探すための制度だということは忘れてはならない。)

 

中盤でタイトルの意味がわかるのだけど、きっと物語の最後にも同じことが起こったのだろう。わたしがそうだったように、皆さんにもぜひ「朝が来る」感覚を味わってもらいたい。

 


ミルフィーユさん、ありがとうございます。

印象に残った言葉がミルフィーユさんの胸にストンと落ちたように、子どもと巡り合えないことで苦しみを感じている人や「血のつながり」という呪縛に苛まれている人が救われる契機となる一冊なのかと思います。映画化された際は永作博美さん、井浦新さんが夫婦を演じていましたね。

『朝が来る』の暗くとも眩しい夜明けの様子に、同作を映画化した河瀨直美監督が製作した『光』を思い返します。河瀨監督の代表作とも言われるこの作品は、弱視の男性写真家と映画の音声ガイドを制作する女性との交流を描いた作品です。辛く厳しい場面が多いのですが、そこには大団円として訪れるある種の救いがある・・・。そんな映画としての楽しみが『朝が来る』と共通しているのではないかと思うのです。

・・・さてさて、ご投稿いただいたぶん文Bunレビューはまだまだクリエイティブ司書の手元にストックされています(←早く更新します!(笑))が、新しいご投稿もお待ちしております!椎葉村に住んでいらっしゃらない方も、椎葉村図書館「ぶん文Bun」で借りずに読んだ方も、ぶん文Bunに置いてある本についてならレビュー大歓迎ですよ!

今後ともよろしくお願い致します。
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 (クリエイティブ司書・小宮山剛)

2024年 (令和6年)
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